スカイランニングのトップ選手が世界から日本に集結。2019年のスカイランニングのシーズンは今週末の粟ヶ岳から始まります。
松永紘明 Hiroaki Matsunagaさんのプロデュースで2016年に粟ヶ岳バーティカルキロメーターが初開催されました。以来、今年で4回目を迎えるこの大会は昨年から開催を4月に移して残雪の残る春の粟ヶ岳(標高1,293m)へと登ることに。さらに今年は山頂でフィニッシュするバーティカル・キロメーター(5.5km 1,100mD+)だけでなく、山頂を含むコースをぐるりと一周するスカイレース(33km 2,400mD+)も加わって「粟ヶ岳レース Mt. Awa Race」に進化。バーティカル・キロメーターは2019年のバーティカルキロメーター・ワールドサーキット Vertical Kilometer World Circuit全8戦、スカイレースはミグラン・スカイランナー・ワールドシリーズ MIGU RUN Skyrunner World Seriesの全16戦の開幕戦となります。
当サイト・DogsorCaravanでは世界のトップ選手が集結する今週末の粟ヶ岳バーティカルキロメーター、粟ヶ岳スカイレースを現地からライブでレポートします。レースの結果や有力選手の表情はもちろん、コースの様子や大会会場の雰囲気などもお伝えする予定です。ぜひ当サイトのTwitterアカウント、Facebookページをフォロー、「いいね」をしてお楽しみください。
日本では唯一の雪上のスカイランニング・レースに世界が注目
大会の会場となるのは新潟県三条市の八木ヶ鼻温泉・いい湯らてい。大会は前日の歓迎レセプションに始まり、4月20日土曜日の午前10時15分からバーティカル・キロメーターがスタート。翌日21日曜日午前8時にはスカイレースがスタートするほか、続いて薬師レース(20km)、八木ヶ鼻レース(10km)、棚田レース(3km)が相次いでスタートします。
バーティカル・キロメーターのコースはメイン会場となる「いい湯らてい」をスタートしてからタイム計測が始まる北五百川登山口まで約1.5kmのロードへ。この区間で各選手は五百川集落の皆さんの声援を受けながらウォームアップします。北五百川登山口に設けられたタイム計測ポイントから5.5km 1,100mD+のレースがスタートすると、五十嵐川に沿ってしばらく進んだ後に尾根を登る登山道に取り付きます。標高600m付近にある粟薬師堂、標高730m付近の特別関門を経由。コースは雪が残る稜線をおよそ2.5km登り続けて、標高1,293mの粟ヶ岳山頂でフィニッシュとなります。同じコースで行われた昨年のレースでは男子は上田瑠偉 Ruy Uedaが52分40秒、女子は高村貴子 Takako Takamuraが1時間11分22秒でそれぞれ優勝しています。
![粟ヶ岳VKのコースマップ(大会ウェブサイトより)]()
粟ヶ岳バーティカルキロメーターのコースマップ(大会ウェブサイトより)
![粟ヶ岳VKの高低図(大会ウェブサイトより)]()
粟ヶ岳バーティカルキロメーターの高低図(大会ウェブサイトより)
今年新設されたスカイレースは後半に粟ヶ岳の山頂を通る32.8km 2,400mD+のコースで開催。「いい湯らてい」をスタート後は高さ200mの石英粗面岩の絶壁でハヤブサの繁殖地として知られる「八木ヶ鼻」を右手に見ながら地元集落の中の約5kmの舗装路へ。山岳コースに入ってからは標高差400mの登りを経て、今回の大会のために整備された古道で小俣沢へ下ります。しばらく沢沿いの渡渉もあるテクニカルなセクションを過ぎると林道となって長瀬神社のエイドステーション(18.5km)へ。コース後半はザラメ雪の残る登山道を経て粟ヶ岳山頂(25.4km)へと標高差1000m以上の登りとなります。トップの選手のフィニッシュはスタートから3時間40分程度(午前11時40分ごろ)と見込まれています。
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粟ヶ岳バーティカルキロメーターのコースマップ(大会ウェブサイトより)
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粟ヶ岳スカイレースの高低図(大会ウェブサイトより)
なお、バーティカル・キロメーターとスカイレースはそれぞれ2019年のスカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner®︎ Japan Seriesのバーティカルキロメーターシリーズ、スカイシリーズの開幕戦です。
世界から集まる有力選手
今回の粟ヶ岳、特に33kmのスカイレースには最近のワールドシリーズ年間チャンピオンなど、欧米のスカイランニングのトップ選手が集結。今年のミグラン・スカイランナー・ワールドシリーズ MIGU RUN Skyrunner World Seriesの開幕戦にふさわしい、ハイレベルなレースとなることは確実です。
続いて、日曜日に開催されるスカイレースの有力選手を紹介します。
土曜日のバーティカルキロメーターに日本からは宮原徹 Toru Miyahara、吉住友里 Yuri Yoshizumi、立石ゆう子 Yuko Tateishiがエントリーしています。
女子 Women
昨年のワールドシリーズで急にその存在感を示すようになった選手の一人がヒラリー・ジェラルディ Hillary Gerardi(アメリカ)です。2017年のシーズンからスカイランナー・ワールドシリーズのレースを転戦するようになり、昨年は5月のYading 30kで4位、6月のUltra Skymarathon Madeira 55kで4位、7月のDolomites Skyrace 22kで2位。ここから8月のTromsø Skyrace 50k、Kima 50kで優勝を重ねてSky Extraシリーズで年間チャンピオンに。9月のGlen Coe Skyline 30kでも優勝と、昨年後半の活躍は著しいものでした。今シーズンもジェラルディの大活躍の一年になるのか。この粟ヶ岳での走りに注目が集まります。
昨年のワールドシリーズでもう一人、著しい活躍をみせたのがホーリー・ページHolly Page(イギリス)です。Yandingで優勝、Livigno Skymarathon 36kで5位、Rut 28kで優勝などの結果を残してSky Classicシリーズで年間チャンピオンを獲得。スカイランニング世界選手権・Ring of Steall Skyrace 26kでも3位に。Golden Trail Seriesでも昨年は最終戦のThe Otter Trail 40kで優勝してシリーズランキング第3位。ジェラルディとともに優勝候補に上がります。
スカイランニング・ファンにとってはメーガン・キンメル Megan Kimmel(アメリカ)はシリーズの上位常連として記憶に新しいところでしょう。2014年のスカイランニング世界選手権・Mont-Blanc Marathonで2位となった翌年からはシーズン中はワールドシリーズのレースを転戦するようになり、特に2016年はZegamaで2位、Matterhorn Ultraks、Rut 28k、Limoneでいずれも優勝してこの年のSky Classicシリーズチャンピオンとなっています。この間にもアメリカのレースではTNF 50mileで2015年に優勝するほか毎年上位を占めています。ワールドシリーズでは昨年一年のブランクがありましたが、今年は粟ヶ岳からシリーズ参戦です。
昨年のワールドシリーズで活躍した選手ではシェイラ・アビレス Sheila Avilés(スペイン)も今回の粟ヶ岳のために来日します。ワールドシリーズに本格的に参戦するようになった2017年はComapedrosaで優勝するなどしてSky Classicシリーズで年間3位に。昨年もYadingで3位、Livignoで2位、Limoneで3位で年間4位のほか、世界選手権・Ring of Steall Skyraceで4位。25歳の若手の今シーズンのブレイクは粟ヶ岳から始まる、ということもあるかもしれません。
日本の高村貴子 Takako Takamuraは今シーズンのワールドシリーズ開幕戦を日本で迎えることになります。昨年は上田スカイ、びわ湖スカイ、志賀高原エクストリームトレイルで優勝してジャパンシリーズの年間チャンピオンとなったことに加えて、ハセツネCUPの3連覇と日本のスカイランニング、トレイルランニングのクィーンとして注目される存在です。ワールドシリーズではデビューとなった2017年のComapedrosaで優勝したシェイラ・アビレスとともに3位で表彰台に。昨年の世界選手権・Ring of Steall Skyraceでは10位。学生から医師となったこの春の節目に、アスリートとしても大きな舞台となります。
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昨年の粟ヶ岳バーティカルキロメーターで優勝した高村貴子 Takako Takamura。
さらに注目選手のリストは次のように続きます。
男子 Men
男子ではノルウェー在住のジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)に注目。障害物レース(OCR)での活躍を経てスカイランニングを走るようになったアルボンはTromsø Skyraceで2015年優勝、2016年2位、2017年と18年は優勝というところからもわかるように、テクニカルな山岳コースに強いランナーです。昨年はTromsøのほかUltra Skymarathon Madeira、スカイランニング世界選手権・Ben Navis Ultraでも優勝したほか、トレイル世界選手権・Penyagolosaでは4位。今回の粟ヶ岳では最有力優勝候補といえます。欧州以外でのレースの結果は見当たらず、日本の山を走るのは初めてとなります。
スカイランニングの草創期からトップ選手として活躍し続けているマルコ・デ・ガスペリ Marco De Gasperi(イタリア)も今回の粟ヶ岳のために来日します。キリアンとともにスカイランニングのシリーズ戦で活躍してきたガスペリは42歳のベテランとなりましたが、最近も2017年にZegama-Aizkorriで2位、Matterhorn UltraksでとLimoneで優勝などの成績でワールドシリーズのSky Classicシリーズで年間チャンピオンに。昨年は初めての100kmのレースとなるCCC®︎に出場して4位になりました。スカイランニング・ファンにはレジェンドが日本で走る姿をみるチャンスです。
アンドラからやってくる兄、オスカー・カサル Oscar Casal Mirと弟、マルク・カサル Marc Casal Mirの兄弟は昨年のSkyClassicシリーズではマルクが年間3位、オスカーが年間5位と揃って上位に入る活躍を見せました。昨年のマルクはLivignoで4位、Olympus Marathonで2位、Matterhorn Ultraksで2位。兄のオスカーもYadingで優勝、Comapedrosaで6位、Rut 28kで2位。粟ヶ岳でも兄弟揃って表彰台をねらいます。
昨年のワールドシリーズでブレイクしたのがオリオール・カルドナ Oriol Cardona Coll(スペイン)。Zegama-Aizkorriでは5位、Limoneでは3位。Golden Trail SeriesではPikes Peak Marathonで2位、最終戦のThe Otter Trailで3位となってシリーズランキング4位に。次を担う若手世代として期待されるカルドナも粟ヶ岳での優勝を目指しているでしょう。
スペインのパブロ・ビジャ Pablo Villa Gonzálezは最近ではトレイル世界選手権で2017年(Trail Sacred Forests)に10位、2018年(Penyagolosa)で13位、トレイル・スペイン選手権となったTransgrancanaria Advanced 64kで優勝。2017年にはUltra Pirineuで優勝。昨年のTDS®︎ではレース終盤にリタイアしたものの優勝争いに加わっています。今年は久々にスカイランナー・ワールドシリーズのシリーズ戦のレースに参戦していくつもりとのことで開幕戦の粟ヶ岳にエントリー。2016年にはLivignoで5位、Matterhorn Ultraksで7位、Limoneで6位などの成績でSkyシリーズで年間4位でした。
世界のトップ選手を日本で迎えるのは上田瑠偉 Ruy Ueda。世界シリーズに初参戦の2017年にはZegama-Aizkorriで8位、Dolomitesで9位、Comapedrosaで3位の成績を残して日本のトップアスリートとして世界で注目を集めます。昨年はZegama-Aizkorriで9位、Livignoで8位となりますがケガのため夏からはレースから離れました。今シーズンは大会四週間前のOSJ新城32Kを大会新記録で優勝しており、コンディションは上々。シリーズ開幕戦で大きく弾みをつけたいところです。
このほかでは、ユージェニ・ジル Eugeni Gil(スペイン)の出場が見込まれていましたが、故障で出場を見送ります。
続く注目選手は次の皆さん。
DogsorCaravanでは粟ヶ岳バーティカルキロメーター、粟ヶ岳スカイレースを現地からレポートします。どうぞお楽しみに。
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投稿 今年は世界シリーズ開幕戦。粟ヶ岳スカイレース・バーティカルキロメーター Mt. Awa Skyrace®, Vertical Kilometer® 2019 プレビュー は DogsorCaravan トレイルランニング・スカイランニングのオンラインメディア に最初に表示されました。
レース序盤では30分以上の大きな差があり、最後の5kmまでトップを走るパウ・カペル選手に追いつかない状況でしたが、無理にスピードを上げて追い上げることなく、快適に走り続けました。外からの影響に左右されるのではなく、競争意識を維持しながら、自分の内面に意識を集中し、自分が快適なペースで走りつづければ、必ず追いつくと信じて平常心を保つことで、いいコンディションで走りつづけることができました。
最後に一番難しいパートが来る、山中湖以降の50kmが鍵
山中湖付近から始まる最後の50kmは一番つらく、特に杓子山の登りは厳しくエネルギーがなくなります。UTMFのコースはスピードを出せるところが罠のように「スピード・トラップ」が設定されていて、最初の30kmはすごく速い。そこで攻めすぎると、杓子山にたどり着く頃には力を出し切ってしまうことになる。レース序盤では自分のペースを維持し、適切なペースで最後を迎えることが大切です。