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一見マイナーチェンジだけど大きく改善、inov-8の新モデル・TERRAULTRA G 270は今週発売

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inov-8(イノヴェイト)が展開する「Gシリーズ」はノーベル賞受賞素材グラフェンをアウトソールに搭載することでグリップ性と耐久性を高いレベルで両立する、プレミアムモデル。その中でもシリーズ展開開始にあわせて2018年に限定モデルとして登場した「TERRAULTRA G 260」はトレイルランニングファンには幅広いシーンに対応する本命モデルとして注目を集めました。昨年春には同じモデル名でアップデートしています。

今回そのGシリーズのプレミアムシューズが新モデルの「TERRAULTRA G 270」として発売されることが発表されました。ゼロドロップ(つま先とかかとの高さが同じ)によるナチュラルな走行感とウルトラディスタンスのトレイルランニングに最適なシューズ、というコンセプトは現行の「TERRAULTRA G 260 UNI」から継承。そのうえで、アウトソールのデザインの変更やミッドソールにクッション性と反発性を向上させる「POWERFLOW MAX」を採用することで、さらに走行性を高めてきたのが新モデル。

inov-8 TERRAULTRA G 270 inov-8 TERRAULTRA G 270

画像で見比べる限りでは確かにグラフェンを搭載したアウトソールのパターンやラグのトレッド、ミッドソールの側面の形状くらいしか現行モデルからは変わっていないように見えます。しかし、inov-8によれば “Small improvements. Big difference.” とのこと。新モデル「TERRAULTRA G 270」は7月16日木曜日に発売です。

  • MODEL: TERRAULTRA G 270 MS, TERRAULTRA G 270 WMS
  • COLOR: グリーン×ブラック
  • SIZE: 25.0-30.0 (MS), 22.5-25.5 (WMS)
  • フィット5(3E相当)
  • 前足部 12mm、踵部12mm、ドロップ0mm、スタッド4mm
  • PRICE: ¥20,000+Tax
  • DELIVERY: 7月16日(木)

DC Weekly 2020年7月14日 – Sierra-Zinalは8-9月にフリーフォーム形式で開催、先週末は嬬恋スカイラン、ルスツトレイルタイムアタックが開催

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

トレイルランニング関連ニュース

IAU24時間走アジアオセアニア選手権が中止

IAU(国際ウルトラランナーズ協会)によるウルトラマラソンの選手権大会のうち、7月18-19日にインド・ベンガルールで開催予定だったIAU24時間走アジアオセアニア選手権は大会直前の7月11日に中止とすることが発表されました。5月開催予定だった大会は一旦延期とされていました。次回は2年後の2022年に同じベンガルールで開催する方向で検討される見込みです。IAU関連では5月開催から9月に延期されていた24時間走アメリカ選手権(アルゼンチン)、9月開催予定だった24時間走ヨーロッパ選手権(イタリア)、同じく9月開催予定の100km世界選手権(オランダ)などの中止が決まっています。

スイスの名大会は1カ月間の「フリーフォーム」形式のレースを開催

今年8月9-10日に予定されていたSierra-Zinalはスイスの31kmの山岳コースで 1974年から続く山岳ランニングの名大会で、Golden Trail Seriesの一戦ともなっていました。スイス当局による新型コロナ感染対策のために例年通りの形式での大会はすでに中止が決まっていますが、8月17日から9月18日の一カ月間に「フリーフォーム」形式で大会を開催することとなっています。選手はこの期間中の1日を選んで、その日の早朝にSierraの街のスタート地点へ。スタート地点には一カ月間常設の受付があり、スタートボタンを押して走り始め、31km先のZinalでフィニッシュして計時。タイムは公式のSierra-Zinalのレース完走タイムとして扱われ、完走賞や完走モデルも贈られます。すでに今年の大会にエントリーしている選手だけが参加可能です。途中1箇所に通過タイムの計測ポイントとエイドステーションがおかれ、フィニッシュ地点のZinalからは通常の路線バスに乗ってSierraに戻る、途中でリタイアした場合は路線バスなどで自力で移動し、携帯電話のテキストメッセージでリタイアを報告する、といったルールが決められています。「フリーフォーム」とはいっても毎日選手を受け入れる体制を準備する負担は軽くなさそうですが、何らかの形で大会を開催したいという意思にはリスペクトを感じずにはいられません。

アメリカのNolan’s 14でFKTを更新、サポートなしでサポートありの記録を大幅に上回る

アメリカ・コロラド州のNolan’s 14はサワッチ山脈の14,000フィート以上の14峰を60時間以内でつなぐというチャレンジ。14峰はどのようなコースでつないでもよいことになっていますが、大体距離は95マイルで累積獲得高度は44,000フィートになるとされています。これまでのFKT(最速記録)はサポートありがアレックス・ニコルス Alex Nicholsの46時間48分、サポートなしがジョー・グラント Joe Grantの49時間38分でともに2018年に記録されています。

このNolan’s 14で、今年7月1日から2日にかけてサポートなしで41時間00分という大記録が生まれました。記録を達成したのはユタ州在住の33歳、ジョーイ・カンパネリ Joey Campanelli。ホッケーやサッカーの経験を持つカンパネリは2010年にユタに移ってから冬はスキー、夏はロングトレイルのスルーハイクに打ち込んできた経験の持ち主。これまでの記録を大幅に塗り替えた秘訣としては、何度も何度も試走を繰り返してどのコースを行くべきか念入りに見極めた、とのこと。iRunFarで今回の挑戦の途中経過など、長いインタビューが掲載されています。

金時山、足柄峠側の登山道が大雨で一部崩落して通行止めに

箱根外輪山の一つで神奈川・静岡の県境に位置する金時山(1213m)は当サイトにとっても最も身近な山の一つ。その金時山で北側の足柄峠から続く登山道の山頂から150m手前で100mにわたって斜面が崩落。急斜面に沿って設置されている金属製の階段が12箇所のうち3箇所で流出しているのが12日日曜日に見つかったとのこと。地元の神奈川県南足柄市、静岡県小山町はこのセクションを含む足柄峠から金時山山頂までの登山道を通行止めとし、復旧の目処は今のところ立っていません。金時山に登る登山道では地蔵堂から夕日の滝経由の金太郎ハイキングコースが昨年秋の台風の影響で通行止めが続いています。金時山に登るには箱根側か御殿場側から、という状況が続きそうです。

先週末開催のイベント

7月12日日曜日

嬬恋スカイラン

群馬県嬬恋村。新型コロナウィルス対策として少人数のレースを同じコースで複数回開催してタイム順で順位を決めるというフォーマットをとる新しい大会です。12日は前週に続いて「ノーマル部門」全5回の2回目。昨年までのジャパンシリーズなどで活躍するトップ選手がゲスト参加する中、往復8km 620mD+を1往復する「ショート」、2往復する「ミドル」、3往復する「ロング」の3つのレースが雨でぬかるむコースで行われました。前回と合わせた2回分の総合順位では、ロングは前回トップの星野誉貴 Hoshino Yoshiki、冨澤いずみ Tomizawa Izumiが首位をキープ。ミドルでは2回目トップの小林海仁 Kobayashi Kaito、小林華蓮 Kobayashi Karenが首位に。ショートは1回目トップの小林海仁、土屋和嘉子 Tsuchiya Wakakoがともに首位を守りました。リザルトは大会ウェブサイトから。

Rusutsu Trail Time Attack

北海道・ルスツリゾート。サロモンの監修で昨年オープンした「RUSUTSU TRAIL」を使って今回初開催。三密を避けたスタイルで、10km、5km、山頂までのヒルクライムといったレースが行われました。リザルトはこちら(掲載され次第リンクします)。

Kendall Mountain Run (12マイル、11km)

コロラド州シルバートン。ケンダール山(3,982m)まで登って下りる19kmの登山レース。リザルトはこちら(掲載され次第リンクします)。

今週末開催のイベント

7月17日金曜日 – 19日日曜日

Golden Ring Ultra-Trail 100

ロシア・ウラジーミル州スーズダリ Suzdalで開催。観光地としても知られる「黄金の環」の都市群の一つで古代から中世の教会建築が世界遺産となっている古都をメイン会場とする大会で、107kmのT100というレースが今年初めてUltra-Trail World Tourに加わりました。今年のUTWTのレースは第3戦のTransgrancanariaが3月6日に開催されて以来となります。ただし、今年のUTWTはシリーズのレースの多くがキャンセルされていることから年間シリーズチャンピオンの表彰は行わないことが決まっています。107kmという距離に対して累積獲得高度は771mD+と登り下りはかなり控えめですが、映像などをみるとかなりワイルドなコースのようです。80kmなどあわせて6つのレースがこの週末に予定されています。19日日曜日にはレースの模様のライブ配信も予定されています

(中止)Eiger Ultra Trail (101k / 51k /36k/ 16k)

スイスのグリンデルワルトを拠点にアイガー山麓のトレイルを走るこちらの大会もUltra-Trail World Tourのシリーズ戦ですが今年の大会は中止に。18日土曜日にはグリンデルワルトを会場として20kmのトレイルを時間差を置いて走るイベント、Trail Surprise 2.0が行われます。

(中止)DoloMyths Run Skyrace

イタリア北部・カナゼイで開催。VK、32km、61kmのレースとともに開催される22kmのレースがGolden Trail Seriesとなっていました。すでにお伝えしているように今年のGolden Trail Seriesはシリーズ戦としてはキャンセルされましたが、Golden Trail Championshipがアソーレス諸島(ポルトガル)で10月29日から11月1日の4日間のステージレースとして開催されます。22カ国について競技人口を考慮して出場枠が設けられ、各国の予選を経てアソーレスに招待されるという枠組み。日本については10月10日のおんたけオールドトレイルズ(大会ウェブサイトでは正式な開催日は未定)の男女それぞれの優勝者が招待枠を獲得することとされています。

(中止)Hardrock 100

アメリカ・コロラド州シルバートン。コロラド州南部のサンフアン山脈で開催される100マイルの山岳トレイルランニングレースは140人の出場枠に例年大幅に上回るエントリーを集める人気の大会。残雪が多いコンディションから中止となった昨年に続いて、今年は新型コロナウィルスのために大会は中止となっています。

(中止)Vermont 100

アメリカ北東部、バーモント州で開催される100マイル、100kmのトレイルランニングレース。こちらも今年の大会は中止に。

7月17日金曜日

(中止)富士登山競走(21k/15k)

73回目を迎える予定だった日本の山岳ランニングの伝統ある一戦。開催予定だった東京五輪により例年より早い日程での開催が予定されていましたが、大会は中止に。今年は山梨県側、静岡県側ともに山小屋が休業することなどから、富士山の登山道への立ち入りはしないことが求められています。

7月18日土曜日 – 19日日曜日

(延期)霧島・えびの高原 エクストリームトレイル(63k/30k)

宮崎県えびの市・鹿児島県霧島市、湧水町。新型コロナの影響はありましたが、今年8月22-23日に延期して開催することが決まっており、開催にあたっての感染対策を行うことがアナウンスされています。

(中止)Tahoe Rim Trail 100

アメリカのカリフォルニア州とネバダ州にまたがるタホ湖のネバダ州側、スプーナーレーク州立公園をスタート、フィニッシュとするループ状のコースで開催。今年は中止となっています。

7月18日土曜日

Laugavegur Ultra Trail (55k)

アイスランドで開催される55kmのP2P(Point to Point)形式のトレイルランニングレースは「ロイガヴェーグル・ウルトラトレイル」と読みます。こちらは参加者を4グループに分けてウェーブスタート形式とするといった対策を行ったうえで開催することが発表されています。

7月19日日曜日

牛松山バーティカルレース

京都府亀岡市。標高636mの牛松山山頂をフィニッシュとする2.0km 464mD+のコースで行われます。スカイランニング近畿選手権・VKがあわせて行われ、近畿選手権は一般レースののちに同じコースで計時が行われ、二回分の4.0km 928mD+の合計タイムで争われます。

(中止)大雪山トレイルジャーニー(70k、40k、10k、5k)

北海道遠軽町白滝。「大雪山ウルトラトレイル」から昨年、名称を改めた大会ですが、今年は新型コロナのため中止に。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

いよいよ日本でもリリース、Stravaの新機能「Local Legends」はセグメントで最も多くエフォートを記録した人をたたえる

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Stravaの新機能がいよいよ日本でリリースされました。

Stravaは6月に発表していたセグメントでの「エフォート」の回数を競う新機能、「Local Legends」を日本においても7月15日にリリースしたことを発表しました。

これまでランニングなどのアクティビティのセグメント(区間)について、タイムを競う仕組みはQOM(Queen of th Mountain)やKOM(King of the Mountain)として設けられており、Stravaの人気機能の一つでした。今回のLocal Legendsは過去90日間にそのセグメントで最も多くのエフォートを記録したアスリートが獲得する仕組み。アスリートのやり抜く力、鍛錬、情熱を称えるため、Local Legendsとなったアスリートにはアプリ上で「ローレルクラウン」が表示されます。Local Legendsは過去90日間の記録を毎日集計して決まるため、Logal Legendsのタイトルは日々入れ替わることに。ローレルクラウンをキープするには日々の努力が求められます。

発表当日にStravaのモバイルアプリでセグメントを表示してみたところ、多くのアスリートが多くのエフォートを記録しているセグメントを中心にローレルクラウンが表示されていて、Local Legendsが選ばれている様子。セグメントの詳細画面から総エフォート数、現在のLocal Legend、順位を確認することもできます。また、すべてのアスリートを示す棒グラフで、競争の変遷を見ることもできます。

今後、Local Legends機能はさらに多くの国や地域に展開されるほか、デスクトップのブラウザー上でLocal Legendsを表示するためのWebエクスペリエンスも開発中となっています。

UTMBのバーチャルレース、「UTMB for the Planet」が開幕、8月30日までに完走すれば抽選で来年のエントリー権も #UTMBforthePlanet

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UTMB®︎ Mont-Blancや「by UTMB®︎」の大会を統括するUTMB®︎ Groupは7月20日から8月30日まで、インターネットを通じて参加するバーチャルレース、「UTMB® for the Planet」を開催します。参加希望者は「UTMB® for the Planet」のウェブサイトからエントリー。参加者は期間中にスマートフォンやGPSウオッチなどでランニング中に記録したGPXファイルをアップロードし、目標の距離を目指します。期間中はリアルタイムで世界中の参加者のリーダーボードが更新されます。なお、それぞれのバーチャルレースを完走した参加者から抽選で3人に、対応するUTMB®︎ Mont-Blancの2021年のレース(OCC、CCC®︎、UTMB®︎)のエントリー権が与えられます。

バーチャルレースへは、今年のUTMB®︎ Mont-Blancの参加予定者に限らず誰でも無料で参加できますが、UTMB®︎が昨年から提携しているWWF(世界自然保護基金)への寄付が呼び掛けられています。

開催されるバーチャルレース

「UTMB® for the Planet」では7月20日から8月30日まで開催される4つの「バーチャルレース」と、スポンサーのサポートのもとで1週間の期間限定で40kmを走る「チャレンジ」が行われます。後者の「チャレンジ」の第一弾は7月20日から27日開催の「OVERSTIM.s Challenge」となっています。

いずれにも共通のルールは次の通り。

  • 完走者となるには所定の距離と累積獲得高度を複数回、または一回で走破する。
  • 高低差のある山に行けず累積獲得高度が得られない場合でも、距離を累積獲得高度に換算(距離1kmあたり累積獲得高度100mD+)する「キロメーターエフォート」を満たすことでも完走と認められる。
    • 例:UTMB®︎ Virtual 170は距離170km、累積獲得高度10,000mD+。これはキロメーターエフォートに換算すると270km(=170+10,000/100)。したがって累積獲得高度が全くない場合でも距離270kmを走れば完走となる。
  • バーチャルレース期間中のランニングの記録はGPXファイルを大会ウェブサイトからアップロードすることで集計対象となる(Suunto、Garmin、Polarのウェブサービスに接続すれば、各サービスから連携してアップロードされる)。
  • バーチャルレースの集計対象となるのは野外でのランニングかウォーキング(平均で時速17km以下、ピーク時で時速22km以下)によるものに限定する。
  • バーチャルレースのランキングは最初のランのスタートから最後のランのフィニッシュまでに経過した時間により集計する。したがってランキングでは一回で所定の距離を走破した参加者が有利となる。

バーチャルレース

  • UTMB® Virtual 50: 距離50km、累積獲得高度2,500mD+、キロメーターエフォート 75。完走者から抽選で3人に2021年のOCCへの参加権。
  • UTMB® Virtual 100: 距離100km、累積獲得高度4,500mD+、キロメーターエフォート 145。完走者から抽選で3人に2021年のCCC®︎への参加権。
  • UTMB® Virtual 170: 距離170km、累積獲得高度10,000mD+、キロメーターエフォート 270。完走者から抽選で3人に2021年のUTMB®︎への参加権。
  • UTMB® Virtual 240: 距離240km、累積獲得高度20,000mD+、キロメーターエフォート 440。

チャレンジ

  • OVERSTIM.s Challenge: 7月20日から7月27日開催。距離40km(累積獲得高度は考慮せず)。完走者から抽選で2名に2021年MCCの参加権、宿泊を提供、2名にOVERSTIM.sアスリートのフランソワ・デンヌが作るワイン、5名にOVERSTIM.sのニュートリション製品をそれぞれプレゼント。
UTMB®︎ for the planetには新しくアカウントを作るほか、UTMB®︎ Mont-Blancへのエントリーのためのアカウントでもエントリーできる。

UTMB®︎ for the planetには新しくアカウントを作るほか、UTMB®︎ Mont-Blancへのエントリーのためのアカウントでもエントリーできる。

アカウントを作ってログインしたところ。GPXファイルを直接アップロードするほか、SuuntoやGarmin、Polarからデータを連携してアップロードすることもできるようだ。

アカウントを作ってログインしたところ。GPXファイルを直接アップロードするほか、SuuntoやGarmin、Polarからデータを連携してアップロードすることもできるようだ。

DC Weekly 2020年7月23日 – ITRAの新型コロナのガイドライン、マスクランはゆったりペースで、先週末はGolden Ring Ultra-Trail、牛松山バーティカルレースが開催

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(写真・ロシアで開催されたGolden Ring Ultra-Trail。Photo courtesy of Golden Ring Ultra-Trail)

トレイルランニング関連ニュース

フィールズの大会、再開へ

フィールズは各地で魅力的なトレイルランニング大会を多数プロデュースしてこられ、当サイトもスカイライントレイル菅平や美ヶ原トレイルといった大会の速報・取材をさせていただきました。そのフィールズさんから、コロナ禍で予定されていた中止、延期が続いていた大会を秋以降に開催するとのメッセージが発信されました。立山登山マラニック(8月29日)、菅平(10月11日)を予定通り開催、テイネ(9月13日)、信州戸隠(9月27日)、美ヶ原(10月25日)、恐羅漢(11月8日)は春・夏に予定されていた大会の延期や新大会で代替する形となります。新型コロナウィルスをめぐる状況は日々変化していますが、秋の各大会の開催に期待したいところです。当サイトでは引き続き国内のランニングイベントの開催可否について日々情報を更新して紹介しています

ITRA、新型コロナウィルスに対する大会主催者のオペレーションガイドラインを発表

ITRA(国際トレイルランニング協会)COVID-19の影響下での大会主催者のための標準オペレーションガイドライン(ITRA COVID-19 Race Organizers Standard Operating Guidelines)を発表しました。新型コロナウィルスの感染拡大が世界的な災禍となる中で、トレイルランニングにおいてもレースをどのように再開していくかが課題となります。ITRAが発表したガイドラインは国や地域によって状況に差があることを前提としつつも、保健当局の指針や規制に従うこと、参加選手に限らず大会に関わる全ての人たちの健康と安全に配慮すべきこと、を原則として掲げます。その上で大会開催前のチェックリストから始まり、受付やブリーフィング、スタート、コース上、エイドステーションと細かくチェックリストを示しています。

マスク・ランのペースはゆったりで・スポーツ科学の専門家がアドバイス

日本でALTRA(アルトラ)を展開するほか、https://altrafootwear.jp/を東京・聖蹟桜ヶ丘をはじめ5店舗展開している株式会社ストライドは、マスク着用時のランニングは着けていない時と比べて心肺への負担が増大するとして、マスクをつける場合は強度を落とすか、高強度のランニングをする場合は人混みを避けてマスクをしないことが望ましい、という調査結果を発表しました。ランニングのトレーニングの目標の一つはVO2max(最大酸素摂取量)を高めることで、そのためにはVO2maxの100%から120%の運動強度が必要。ところがマスクをしていると呼吸が制限されてそうした強度の高い運動はできず、無理をすると無理な動きや呼吸を強制することなって危険。高地トレーニングのような効果は期待できないとのこと。夏の間はマスクをして走ることで熱中症を自覚しづらくなる、という話も聞くので、くれぐれも注意したいところです。

先週末開催のイベント

7月17日金曜日 – 19日日曜日

Golden Ring Ultra-Trail 100

ロシア・ウラジーミル州スーズダリ Suzdalで開催。3月以来のUltra-Trail World Tourのシリーズ戦です。、107km 771mD+のT100はコンスタンチン・イワノフ Konstantin Ivanovが8時間53分13秒で男子優勝。ロシアのペルミ市在住のイワノフはロックダウン期間中に自宅のアパートの中を走り続け、9時間6分で100kmを完走しています。女子はチェリャビンスク在住のアントニーナ・ユシーナ Antonina Ushinaが9時間52分13秒で優勝で男女総合9位。男女ともに大会記録を更新しました。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。

T100 Константин Иванов чемпион RZD Golden Ring Ultra Trail 100
08:53:13
Новый рекорд Трассы!

T100 Антонина Юшина…

Posted by Golden Ring Ultra-Trail 100 on Monday, July 20, 2020

7月18日土曜日

Laugavegur Ultra Trail (55k)

アイスランドで開催される55kmの「ロイガヴェーグル・ウルトラトレイル」は予定通り開催され、バイダス・ゼラビス Vaidaz Zlabys(リトアニア)が4時間27分、ランベイグ・オッズドッティル Rannveig Oddsdóttir(アイスランド)が5時間0分でそれぞれ男女のレースで優勝。リザルトはこちら

7月19日日曜日

牛松山バーティカルレース

京都府亀岡市。標高636mの牛松山山頂をフィニッシュとする2.0km 464mD+のコースで行われます。コースを2回駆け上りそのタイムの合計で競われたのがスカイランニング近畿選手権・VKでした。近畿選手権の女子では西岡真紀 Nishioka Makiがスカイランニングのシリーズ戦で活躍する立石ゆう子、吉住友里を1本目、2本目ともにそれぞれ1分半以上の差をつけて退け、41分38秒で優勝。昨年の宮古島トライアストンで2位などトライアスリートとして活躍するアスリートが山でその力を発揮しました。2位は立石ゆう子 Tateishi Yukoで44分38秒、3位は吉住友里 Yuri Yoshizumiで44分45秒。男子は近江竜之介 Ohmi Ryunosukeが33分47秒で近畿チャンピオンに。宮川朋史 Tomofumi Miyagawaが36分7秒、二俣真が36分17秒で続きました。リザルトはこちら

今週末開催のイベント

7月23日木曜日 – 25日土曜日

(中止)分水嶺トレイル(84k, 120k)

青梅または奥多摩・鴨沢から清里・獅子岩まで秩父多摩甲斐国立公園のピークをつなぐ分水嶺をたどる長距離の山岳縦走大会。山岳コースを使用する許可が得られる環境ではないとして中止と発表されています。

(中止)La 6000D (63k, 27k, 11k)

フランスのスキーリゾート、ラ・プラーニュで開催。65km 3500mD+のメインイベント「La 6000D」のほか27k, 11kなどのレース、1.5kmのボブスレーのコースを駆け上がるレースが予定されていました。

7月23日木曜日 – 24日金曜日

(中止)OSJ Ontake 100(100k, 100マイル)

長野県王滝村。2008年にはじまった日本の長距離トレイルレースの名大会は9月19-20日に延期することが4月に発表されましたが、その後6月に今年は中止とすることが決まっています。

7月25日土曜日

(中止)Trans D’Havet (80k, 42k, 22k)

イタリア北部・バルダーニョをメイン会場にして開催される、80km、42kmなどのトレイルランニングレース。今年の大会は中止となりましたが、7月25日から9月25日の間に40kmのコースをそれぞれ走りましょう、という呼びかけがされていて、コースのGPXファイルのほか、コースマップやスタップ帳もダウンロード可能になっています。あえてバーチャルレースという形にせず、各自で山の魅力を楽しんでほしいとのこと。写真、ビデオ、エッセイなどを募集するコンテストも行われる予定です。

7月24日金曜日 – 26日日曜日

(中止)Grossglockner Ultra Trail (110k, 50k, 30k)

オーストリアのカプルーン Kaprunを拠点にオーストリアの最高峰・グロースグロックナー(標高3798m)の山麓を周回するコースで開催予定でした。

(中止)Lakeland 100

イギリス・湖水地方のコニストン Conistonで開催される累積獲得高度6,300mD+の100マイルのトレイルランニングレース。

7月25日土曜日 – 26日日曜日

(延期)Burning River 100

オハイオ州クリーブランド郊外で開催のポイント・トゥ・ポイントの100マイルレース。8月22-23日に延期して開催すると発表されています。

(延期)Swiss Alpine Davos (68k, 43k, 23k, 10k)

スイス・ダボスで開催。かつてのDavos Alpine Marathonがレースの一つ、「K43」に引き継がれています。今週末の大会開催は中止ですが、現在のところ9月19-20日に延期して開催することが検討されています。

7月25日土曜日

(中止)S-Mountain The4100D マウンテントレイルin野沢温泉(65k、23k)

長野県・野沢温泉村。野沢温泉スキー場を会場に行われる猛暑のタフなレース。今年の大会は中止となっています。

(中止)Forestrail Shinjo-Hiruzen(75k, 25k)

岡山県新庄村・真庭市の蒜山周辺の山岳エリアで開催。昨年の9月開催から今年は7月に時期を移して開催予定でした。

Speedgoat (50k)

アメリカ・ユタ州のスノーバード・スキーリゾートで開催。カール・メルツァー Karl Meltzerがプロデュースする大会は新型コロナ対策を行った上で開催される予定です。

(中止)White River 50 mile

ワシントン州シアトル郊外で開催の50マイル。今年は中止に。

7月26日日曜日

(中止)Giir di Mont (32k)

イタリア北部、プレマーナで開催される山岳レースはヨーロッパの山岳レースの中では長い歴史を持つ大会。

(中止)SkyRace Comapedrosa (21k)

ピレネー山脈のアンドラで開催。21kmの距離に対して累積獲得高度が2,280mD+という高難度のスカイレース。スカイランナー・ワールドシリーズ Skyrunner World Seriesのレースでしたが中止に。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

代表選考は来年1月以降に持ち越しの可能性も。2021年マウンテン・トレイルランニング世界選手権の日本代表選考の方針が発表に

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新型コロナウィルスの影響を受けて、世界選手権に向けた日程も変更を余儀なくされています。

日本トレイルランニング協会は来年2021年に予定されるマウンテン・トレイルランニング世界選手権(World Mountain and Trail Running Championships)に向けた日本代表選手の選考スケジュールについての方針を示しました。すでに発表されている日本代表選考レースを通じて選考するものの、場合によっては来年2021年1月以降に代替する選考レースが指定されます。

(写真・2018年トレイル世界選手権<スペイン>で男子優勝のルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernando。 Photo by Koichi Iwasa)

2021年世界選手権は世界陸連(WA)の元でトレイルランニングとマウンテンランニングを同じ大会の中で行う、という初めてのフォーマットで開催予定。当初は今年6月に開催をホストする大会が決定する予定でしたが、WAは世界的なコロナ禍で開催地とホスト大会の決定は今年11月8日に延期することを決めています。

今年4月に日本トレイルランニング協会、日本陸連は世界選手権の4種目(クラシック、バーティカル、ショート、ロング)のそれぞれについて今年中に国内で開催される計10大会を代表選考レースとして指定していました。しかし目下のコロナ禍により現在までに霧島えびの高原(8月23日、ショート)、尾瀬岩鞍(10月10日、バーティカル)、IZU Trail Journey(12月を予定、ロング)のほかはいずれも大会が中止になっています。

日本トレイルランニング協会の今回の発表はこうした状況を受けたもの。4月に発表した代表選考レースについては予定通り代表選考の機会とするとしつつも、代表選考レースが開催されない場合や参加資格が居住地により制限される場合には「2020年11月8日の世界陸連による「世界選手権 2021」の開催地発表および大会実施概要の発表を受けて、2021年1月以降に代替の選考競技会を行うものとする。」としています。

WAの世界選手権開催地選考スケジュールによれば、世界選手権の開催は2021年6月15日以前、または2021年9月15日以降とされており、夏の3ヶ月間は開催時期から外れています。開催地の発表が2020年11月8日となることや、各国とも代表選考の場となる大会の中止や延期が相次いでいることからすると、当サイトの予想では世界選手権の開催は2021年の秋となるのでは、と考えます。日本代表選考レースについては、本日から始まる4連休について東京都は不要不急の外出自粛を呼びかけており、今後代表選考レースとなる大会が居住地による参加制限を行う可能性もありそう。代表選考レースは来年2021年春から仕切り直し、というスケジュールも考えられるでしょう。。

Garmin Connectでアクティビティをアップロードできない障害が発生中、社内システムを含む全サービスがダウン。ランサムウェア攻撃によるものとの情報も。

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Garminデバイスのユーザーの方は、昨夜からスマートフォンのGarmin Connectアプリをみて、「メンテナンス中」となっていることにお気づきでしょう。今朝になっても同じ状態で2020年7月24日(金)18時30分現在でも、Garminのウオッチからランニングの後は自動的にログがアップロードされるはずなのに、いつまで経ってもアップロードされません。これはGarmin Connect側のシステムダウンによるもので、ユーザー側の端末故障や操作の間違いによるものではありません。ただ、システムダウンの状況は大規模な模様で復旧には少なくとも数日はかかりそうです。

Garmin Outage 2020

Garmin ConnectのiOSアプリにはサーバーのメンテナンス中との表示が続いている。

システムダウンの影響、復旧の見通しが明らかになるには少し時間がかかりそう

GarminのTwitterアカウントによれば障害は日本時間の7月23日(木)正午には発生していた模様。当初はシステムメンテナンスによるものとしていましたが、やがてGarmin Connectなどのユーザー向けサービスだけでなく、台湾の生産拠点や社内のコールセンターやEメールといった大規模なシステムダウンが発生している、と発表。

影響はGarminのウェアラブルデバイスを愛用しているアスリートだけでなく、航空機向けデータベースにも及んでいるとのこと。Garminは航空機向けナビゲーションシステムでも大手。こうしたナビシステムは航空機の出発前に毎回データベースのアップデートをかけることが航空当局により義務付けられているものの、このアップデートもできない状態となっているそうです。

ZDnetによればこのシステムダウンの原因は今年発見されたWastedLockerというランサムウェアが原因である可能性があるとのこと。Garmin本社から台湾の生産拠点に対しては24日、25日の二日間はメンテナンスに充てるとの指示があったと言います。

Garminのシステムダウンの影響や復旧の目処について明らかになるには、少し時間がかかりそうです。

PCに接続すればGarminデバイスから第三者のサービスにアクティビティのログをアップロード可能

Garminのウォッチを愛用しているユーザーにとっては、日々記録しているランニングなどのアクティビティは一体どうなるのか、が気になるところです。

幸いにもGarminの場合は製品の付属のUSBケーブルをPCに接続すればドライブとしてPCに認識されます(音楽機能があるデバイスでMacの場合は少々面倒でAndroid File Transferというユーティリティーソフトをインストールすることでマウントできるようになります)。マウントされたらフォルダ「Garmin」の中のフォルダ「Activities」を開くと、アクティビティのログが”.fit”ファイルでそれぞれ保存されているのを見ることができます。このファイルをStravaやTrainingPeaksのようなサードバーティのサービスにアップロードすれば、アクティビティは無事というわけです。詳しいやり方はDC Rainmakerが解説しています。

とはいえ、PCが手元にない方、Garmin Connect以外のサードバーティのサービスは使っていない方にとっては、Garmin Connectの復旧を待つほかありません。復旧すればたまっていたログは無事アップロードできるでしょう。ただ、場合によってはGarmin Connectに蓄積してきた汗と涙の成果である貴重なデータがランサムウェアで犠牲になることもあるのかも。。今は無事の復旧を祈りたいと思います。

(Source: ZDnetiThomeDC Rainmaker

せっかく走ったのにログを見られない?Garmin Connect復旧までの対策を考える。 #GarminOutage

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7月23日(木)に発生したGarmin Connectのサービスダウンについて、当サイトも昨夜お伝えしました。三日目の25日(土)にはGarminのシステムがランサムウェア「WastedLocker」による攻撃を受けたことが現在調査にあたっている関係者筋から確認された、という情報がありました。

三日経ってもスマホアプリからもウェブからもGarmin Connectにアクセスできなくないことや、Garminから現在の状況や今後の見通しについてアップデートがない状態が続いていることからすると、復旧には時間がかかると考えた方がよさそうです。

とはいえ、ランニングや自転車を日々楽しんでいるアスリートの皆さんにとってGarmin Connectが使えないと、そのままではランニングの記録はデバイスの小さい画面を操作して見るしかなく、ソーシャルメディアでシェアしたりすることも難しくて不便に感じます。そして、もしランサムウェアによって誰かがGarminを攻撃したのだとすれば、Garmin Connectにアップロードしているこれまでのアクティビティのデータ、日々の心拍数や睡眠時間、体重、ストレス、VO2maxといったプライベートなデータが外部に流出する危険もあるかもしれません。Garmin社内でバックアップデータが保存されていたとしても、保存の仕方によってはそれも攻撃者によって暗号化されてしまっていてGarminにはなす術がない可能性もあります。最悪の場合はアスリートの過去のアクティビティログが戻ってこないこともあるかもしれません。

こうした状況を踏まえて、GarminユーザーとしてGarmin Connectが復旧するまでにやっておいた方がよさそうなことを考えてみました。

アカウントとパスワードを使い回している場合は変更を

Garmin Connectを利用するためのアカウント名(メールアドレス)とパスワードも攻撃者に流出した可能性があります。そうすると、そのアカウントとパスワードの組み合わせを使って他のウェブサービスへ不正にログインされるかもしれません。アカウント名とパスワードの組み合わせを他のサービスでも使っている場合には、そのウェブサービスのパスワードを変更しておいた方がいいでしょう。できればスマホやPCのパスワード管理機能やパスワード管理アプリ(1Passwordなど)で推測されにくいランダムなパスワードを作って管理しておきたいところ。

fenixシリーズなどではタッチ決済ができるGarmin Pay機能が利用できます。Gamin Payを使うにはデビットカードなどの情報をGarmin Connectのモバイルアプリを使って登録します。Garminではカード番号をユーザーのデバイスやGarminのサーバーに保存しない、としているので今回のランサムウェア攻撃によって勝手にGarmin Payが使われてしまうということはなさそうです。でも念のためGarmin Payに登録しているカードの利用記録を時々確認しておいた方がよさそうです。

これまでのアクティビティのログがデバイスに保存されているのを確認

ランサムウェアの影響でGarmin Connectがシャットダウンしたとしても、ユーザーの手元にあるGarminのデバイスがウィルスに感染したりしたわけではありません。これまでのアクティビティのログはGarmin Connectにアップロードした後もデバイスのメモリーに保存されています。どのくらいまで遡って保存されているかはデバイスの種類やアクティビティの長さや数にもよりますが、筆者のfenix 6Xにはこのデバイスを使い始めた昨年12月から158回のアクティビティのログが残っています。

音楽機能を持つGarminデバイスをMacに接続し、Android File Transferで開いたところ。過去のアクティビティがFITファイルで保存されている。

音楽機能を持つGarminデバイスをMacに接続し、Android File Transferで開いたところ。過去のアクティビティがFITファイルで保存されている。

Garmin Connectにスマホ経由ですぐにアップロードすることはシステムが復旧するまでできませんが、今まで通りにランニングや自転車、水泳、ハイキングといったアクティビティのログをとっておけば、復旧してからアップロードできるはずです。

とはいえ、Garmin Connectにはコースを作って保存してデバイスに転送する、といった機能もあるわけで、Garminデバイスの少なからぬ機能はGarmin Connectに依存しています。やっぱり早く復旧してほしいですね。

Garminデバイスは付属のUSBケーブルを使ってPCに接続すればドライブとしてPCに認識されます(他社のデバイスだとこれができないことがあるのでこの点は助かります)。マウントされたドライブのフォルダ「Garmin」の中のフォルダ「Activity」にある”.fit”ファイルが毎回のアクティビティのログです。もしデバイスのメモリーの容量が残りわずかだったりする場合には、このフォルダをPCにコピーしておけば手元のバックアップとすることができます。

なお、筆者が使っているfenix 6シリーズのように音楽機能を備えているデバイスをMacのPCに接続してもドライブとして認識されません。その場合はAndroid File Transferというユーティリティーソフトをインストールして起動すると、Garminデバイスの中のフォルダやファイルを一覧したり操作できるようになります。その名前の通り、GoogleがAndroid端末のメモリーにMacからファイルを読み書きするためのソフトですがGarminデバイスのメモリーも同様に読み書きできます。

Garmin Connect復旧までは、必要ならば手作業でサードパーティのサービスにアップロード

今後Garmin Connectが復旧すれば、デバイスに蓄積されていたサービスダウン中のアクティビティはこれまで通りモバイルアプリでGarmin Connectにアップロードされるでしょう。ちょっと不便ですが気長に待ちましょう。

しかし、そうやって気長に待てない気持ちもよくわかります。今日走ったコースや距離、タイムを一目で確認したくなります。アクティビティをソーシャルメディアでシェアしたい場合もあるし、最近はバーチャルのランニングイベントで走ったことの証拠として送信したいというニーズもあるでしょう。そして、StravaやTrainingPeaksといったサードパーティのサービスにアクティビティが送信できないのがストレス、というアスリートも多いはず。実際、Garmin Connectがサービスダウンした23日午後からはStravaへのアクティビティ送信件数は半分近くに落ち込んでいます。Twitterは世界中のGarminユーザーの嘆きの声で満ちています。

StravaのウェブサイトによればGamin Connectが停止した23日午後からはアップロード件数が半分近くに落ち込んでいる。

StravaのウェブサイトによればGamin Connectが停止した23日午後からはアップロード件数が半分近くに落ち込んでいる。

しかし、Gaminデバイスから”.fit”形式のファイルを取り出すことができれば、サードパーティのサービスにアップロードしてGarmin Connectと同様にアクティビティの詳細なデータを一覧することができます。以下ではStravaの場合を紹介します。StravaやTrainingPeaksは基本機能は無料のアカウントを使えば利用できるので、Garmin Connectのバックアップとして使い始めるのもいい考えだと思います。

Stravaのウェブ版の右上にある「+」ボタンから「アクティビティをアップロード」を選択。

Stravaのウェブ版の右上にある「+」ボタンから「アクティビティをアップロード」を選択。

「ファイルを選択」から".fit"形式のファイルをアップロード。25個までまとめてアップロードできる。

「ファイルを選択」から”.fit”形式のファイルをアップロード。25個までまとめてアップロードできる。

詳細なデータにこだわらないなら、".fit"形式のファイルをアップロードせずにランニングの距離やタイムを直接入力することも可能。

詳細なデータにこだわらないなら、”.fit”形式のファイルをアップロードせずにランニングの距離やタイムを直接入力することも可能。

Garminユーザーにとっては少々不便が続きますが、筆者もユーザーの一人としてGarmin Connectが無事に復旧するよう祈っています。


訃報・三浦誠司 Miura Seijiさん

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2020年7月26日(日)に大阪のランニング専門店、RUN-WALK Styleの店長、三浦誠司 Miura Seijiさんが神戸市内でのトレイルランニング中に水難事故に遭い、亡くなられました。

(写真は2015年の信越五岳トレイルランニングレースを走る三浦誠司さん)

大阪城公園の近くのお店、そして最近移転して新装開店されたばかりの名古屋店はランニングとウォーキングの専門店ですが、トレイルランニングの品揃えも充実していて大阪のトレイルランニングファンにとっては情報交換の場であり、仲間との交流の場です。もちろん、三浦誠司さんは常にその中心にいたことでしょう。

しかし、筆者(当サイト岩佐)にとって三浦さんはトレイルランニングのレースで活躍する選手というイメージが一番に思い浮かびます。とりわけ信越五岳トレイルランニングレースでは2013年に9位、2014年に7位となって表彰台に立っています。私は2014年と2015年の信越五岳のレースを取材しましたが、すらりと細身の選手が上位を走る中で、小柄でガッチリした体格の三浦さんが眉間に皺を入れながら一歩一歩坂を登ってくる姿を思い出します。でもレースが終わってからはいつも笑顔を絶やすことなく、お話を聞かせてくれました。信越五岳では100マイルのレースが加わった2017年にはRUN-WALK Styleの仲間の皆さんと一緒にエイドステーションの運営を引き受け、リーダーとして大雨の中を次々にやってくる選手を見守っていました。

2014年の信越五岳トレイルランニングレースを走る三浦誠司さん(右)。

2014年の信越五岳トレイルランニングレースを走る三浦誠司さん(右)。

こちらも2014年の信越五岳トレイルランニングレース。黒姫のエイドから登る三浦誠司さん(右)。

こちらも2014年の信越五岳トレイルランニングレース。黒姫のエイドから登る三浦誠司さん(右)。

最近では、イベントなどで「ガンバフンバくん」に扮して、やってきた人たちを笑顔にさせる姿をご覧になった方も多いことでしょう。私も最後に三浦さんと会ったのは、東京マラソンのエキスポ会場で会った「ガンバフンバくん」でした。でも、もう一度お目にかかってお話ししたかった。あのとき、「ガンバフンバくん」を直接見たのが初めてで、中の人が三浦さんだと確信が持てなくてちゃんと話ができなかったから。

2019年東京マラソンEXPOにやってきたガンバフンバくん。

2019年東京マラソンEXPOにやってきたガンバフンバくん。

トレイルランニングを愛し、新しくはじめようとする人たちに手を差し伸べることを惜しまなかった三浦さん。またどこかで会える気がしてなりません。どうぞ安らかにお眠りください。そして、ご家族や仲間の皆さんに心よりお悔やみ申し上げます。

上野暁生 Ueno Akio選手に聞く・zoomで世界とつながりながら50時間走り続けたQuarantine Backyard Ultra

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スタートとともに1周6.706m(=100マイル/24)のコースを1時間以内に走り、スタートからちょうど1時間後に再びスタートする。これを最後の一人になるまで繰り返す。バックヤードウルトラ backyard ultraはユニークな形式のウルトラマラソンで、アメリカやヨーロッパを中心に各地で大会が開かれています。今春以降COVID-19によって大会の中止が相次ぐ中で、4月にはzoomを使ってインターネット越しにお互いの様子を見ながら参加するという「クオレンティン・バックヤードウルトラ Quarantine Backyard Ultra」が開催されました。50カ国から2,300人が参加し、zoomでスタートを知らせるホイッスルがなったのを確認してそれぞれ自宅の周りやトレッドミルを6.7km走ることを繰り返すというレースは、新型コロナの時代のイベントの形として世界のランニングコミュニティで話題になりました。

この「クオレンティン・バックヤードウルトラ」が7月11日に再び開催されました。参加選手はそれぞれの「1周」(6.7km)のコースを1時間ごとに走り始めますが、10時間が経過したころには全選手の3分の2がストップ。20時間経過後に残ったのは45人、30時間後は15人、40時間後は5人まで参加者は減っていきます。そして43周目をスタートした最後に残った二人のうちの一人が上野暁生 Ueno Akioさんでした。

二人のうちどちらかが勝負から下りればそこで勝者が決まる。一対一の勝負となってから上野さんとジョン・ノル Jon Nollさんの二人はお互い遠く離れてはいるもののzoomの画面越しに様子をうかがいながら一周、また一周と二人で8時間走り続けます。日本時間の深夜に51周目が始まり、まもなく上野さんがトレッドミルから下りたことで二人の勝負についに決着がつきました。

第二回の「クオレンティン・バックヤードウルトラ」で準優勝となった上野暁生さんは2018年のOSJ KOUMI 100で2位となり、翌年2019年にはニュージーランドで開催されたTarawera Ultramarathon 100 mileで3位になった経験を持つウルトラランナーです。上野さんに今回の「クオレンティン・バックヤードウルトラ」を振り返っていただきました。

最初から暑さとの闘い、8時間におよぶ最後の一対一のレース展開

QBU参加中の上野暁生さん。

QBU参加中の上野暁生さん。

DogsorCaravan(以下、DC):先週の「クオレンティン・バックヤードウルトラ」(以下、QBU)はお疲れ様でした。日本時間の7月11日土曜日の午後10時。そこから13日月曜日の深夜12時過ぎまで50時間、50周を走り続けたわけですね。今の体調はいかがですか?

上野暁生さん:普通のジョクはできるくらいには回復しています。筋肉の疲労というよりは、内臓のダメージが大きかったですね。

DC:普通のウルトラマラソンは決まったゴールを目指してできるだけ速く走るのが目標です。でもバックヤードウルトラは1時間に走る距離は決まっていますよね。どんな感じで走るんでしょうか。

「1周」6.7kmを走って1時間後にまたスタートを繰り返すわけですが、事前の想定では45分間で1周して15分で休憩と補給をするつもりでした。今年2月に日本初のバックヤードウルトラとして高尾で開催された「Backyard Ultra Last Samurai Standing」ではそれくらいの時間配分で最後まで走ることができたんです(注・このレースで上野さんは40周を走って準優勝)。

ところが今回のQBUは想定通りにはいかなくて、だいたい走るのに47〜48分。51分かかることもありました。走る時間が長くなるとそれだけ休む時間は短くなります。走っている途中で次の休憩で何をするか考えて、走りながらサポートクルーに準備を頼んでいました。

28周目を走る選手の皆さん。上野さんは左から2列目の上から3人目。

28周目を走る選手の皆さん。上野さんは左から2列目の上から3人目。

走るペースが落ちて、次第に休憩や仮眠に充てる時間が短くなったのは誤算でした。今回は気温が高い中で走ることになり、早くから熱中症気味。休憩では横になって仮眠をとるのは諦めて、シャワーを浴びて身体を効率的に冷やすのを優先しました。休憩の合間の仮眠といっても馬鹿にはできません。1周するたびに5分寝れたら、50時間後に50周する頃には合計して4時間以上寝ている計算ですから。今回は後半になっても熱中症が回復する兆しはなく、睡眠よりも熱中症をこれ以上悪くしないことを優先するしかありませんでした。

序盤からお腹を下しはじめたのも辛かったですね。後半は2時間おきくらいにトレッドミルをストップしてトイレに駆け込んでいるような状態でした。当然、そこで時間をロスします。1周6.7kmを50分で走るならペースは1キロ7分半くらいですが、トイレに5分も入っていると、その分はあわてて巻き取らないといけなくなります。休憩時間なしで次の1周を走り始めるのはさすがに無理ですから。

体力の消耗を極力抑える、熱中症を悪化させない、筋肉が固まらないように補給はきちんととる。そのために次の休憩で何をすればいいかひたすら考える。その繰り返しでした。

DC:43周目に入ってからは、レースを続けているのは今回優勝したジョン・ノルさんと上野さんの二人だけに。残り二人だけになってからはやはり相手の様子を意識するんでしょうか。

スタートしてからはずっと淡々と自分のコンディションを保つことだけを考えていて、他の選手のことは考えていませんでした。でも40時間を過ぎて最後の数人になってからはzoomに映る選手の様子をディスプレイで見ていて、他の選手の様子が変わってきたことに気づくようになります。zoomではウェブカムからずっと同じ角度で映っている選手を見ることになりますが、上体がブレるようになってきたなとか、さっきまで自分より先に一周を走り終えて休憩していたのに逆にまだ走っているぞ、とか。

レースの最終盤、最後の二人となった上野さん(左)が50周目を走る。ライブ配信中は観ている人からのメッセージも。

レースの最終盤、最後の二人となった上野さん(左)が50周目を走る。ライブ配信中は観ている人からのメッセージも。

最後の二人になると先に止めた方が負けですから、俄然相手の様子が気になりはじめました。(インターネット越しではなく)リアルで行われるレースなら相手に声をかけて励ましたり様子をうかがったりするんでしょうが、今回はさすがに声をかけることができません。何か変化がないかずっとzoomで相手の様子を見ていましたね。

ライブ配信の合間には主催者が解説をする場面も。背後に上野さんの背中がみえる。

ライブ配信の合間には主催者が解説をする場面も。背後に上野さんの背中がみえる。

DC:最後となった51周目のことを教えてください。先に上野さんが足を止めた時、何があったんですか?

熱中症が続いていて、スタートから40時間が過ぎるあたりからは、ほとんど固形食を胃が受け付けなくなりました。39時間過ぎには気分が悪くて嘔吐しています。熱のダメージが酷くて、トレッドミルを走りながら氷水をかぶったりしても、身体がいうことを聞きません。とにかく暑い。体温が下がらない。身体がどんどん悪くなっていきました。脚は意外と大丈夫で最後まで1周を47分とか48分で走れていたと思います。でもエネルギーが底をついた感じがして、「これは60時間までは走れないんじゃないか」と考えていました。

補給食がもう何も喉を通らなくなったのが49周目でした。50周目を走りはじめて、すぐに脚の筋肉が固くなってきたと感じたんですね。その時、直感で「ああ、これ以上やると身体が動かなくなるな」というのがわかったんです。これは止めざるを得ない。

それでもなんとか50周を走り終えました。止めるしかないけれど、相手だってもう走れないかもしれないんだからと思って、一か八かでホイッスルがなるとトレッドミルに乗りました。でももう足が動かない。そこで止めました。

DC:100マイルのレースだったら、あと何キロ走ればフィニッシュできるとか考えて自分のやる気をキープできますよね。でもバックヤードウルトラは1周走ることの繰り返しがいつまで続ければいいかわからない。どんなことを考えながら走るんでしょうか?

今、走っているこの1周に集中する、これに尽きますね。100マイルレースでも同じことはいえるんですが、バックヤードウルトラの場合は1時間で走る距離が決まっています。エイドで思い切って20分休むとか、今は調子がいいから一気にペースを上げて挽回するとかはできません。

これがBUの難しいところですね。1時間ごとに鳴るホイッスルにあわせて行動し続けるうちに、1周6.7kmがだんだん長く、そして休憩時間は短く感じるようになってきます。そういう状況にあわせて自分をどうマネジメントしていくか。そこが難しいけど面白い。

走り続けて最後の二人になって、相手と一対一の対決になってからが、僕にとってバックヤードウルトラで一番興奮するところです。それで一周を走り終えると次のホイッスルまでは休憩をとる、というのをどちらかが倒れるまで続けるのはまるでボクシングみたいですよね。

今年はビッグヤードウルトラを目標に据え、QBUは秋の本番に向けた調整の好機

DC:上野さんは「チーム100マイル」のメンバーで、100マイルをはじめとするレースもたくさん経験されています。バックヤードウルトラを走ろうと思ったのは何がきっかけですか?

直接には今年2月に高尾で開催された「Backyard Ultra Last Samurai Standing」について聞いたのがきっかけですね。以前から海外ではバックヤードウルトラという競技があること、その先駆けはラズが主催する「ビッグドッグス・バックヤードウルトラ Big Dog’s Backyard Ultra」で最近はエリート選手が参加するようになって盛り上がっていることは知っていました。

(注・「ビッグドッグス・バックヤードウルトラ」はバークレーマラソンズ Berkley Marathonsの主催者として知られる「ラズ」ことラザルス・レイクが2012年に始めた世界初のバックヤードウルトラのレース。毎年10月にアメリカ・テネシー州で開催され、出場資格を認められた選手のみが参加できる。)

高尾の大会のことを聞いたのは大会まであと1ヶ月というタイミングでしたが、優勝すると「ビッグドッグス」への出場権が得られるレースだと聞いて、面白そうだと思ったんです。

DC:その高尾のバックヤードウルトラで最後の二人になるまで走り続けたんですね。

16人が参加して、僕は優勝した舘野久之さんと最後の二人になるまで走ることができました。走っていてとても調子がよくて体力には何も問題ないし、足もバッチリ動いていて。気温も少し寒いくらいで走るにはちょうどよかった。これは楽勝だな、と思っていたんです。ところが、42周目を走り始めた時、膝の具合がおかしくて足がロックされたように急に動かなくなってしまったんです。そこでリタイアするしかありませんでした。

舘野さんが「ビッグドッグス」への出場権を手にしたんですが、その後すぐにラズから「出場できるよ」というオファーのメールが来ました。バックヤードウルトラではいい記録を出すには優勝した選手だけではなく競り合う選手も必要なんだ、と。なので最後の一人となるまで競り合った2位の選手で40周以上走っている場合は「アシスト」として「ビッグドッグス」への出場を認める、というんです。もちろんすぐにエントリーしました。そしてこの大会を今年の目標にすると決めて、年間スケジュールも変更です。

DC:その後、新型コロナウィルスが広がって外出自粛の呼びかけが始まります。

世界各国で外出制限がされるようになってからまもなく、バックヤードウルトラではカナダのチームが主催して4月に第一回のQBUが開催されるということは早くから知っていたんです。この4月のQBUにも参加したいなと思いましたが、2月に高尾で走ったばかりでまだ完全回復にはほど遠い。結局、4月のはじめというタイミングでこの第一回QBUに参加するのは見送りました。

独りで10月の「ビッグドッグス」を意識してトレーニングを始めたのですが、やっぱりもう一度秋の本番までにバックヤードウルトラを経験した方がいいと思うようになりました。そんな時にカナダのチームが7月に2回目のQBUをやると聞き、すぐにエントリー。10月の本番までレースも少ないし、走ることへの制約が多い中で40時間、50時間と走り続ける経験ができるのはチャンスだと思ったんですね。

トレッドミルと信号のない海沿いを走るベストの環境を整える

DC:今回、QBUを走るためにトレッドミルを自分で用意したと聞きました。

4月の第一回大会のデータを主催者が公表しています。それによると、1,577人の参加選手のうち、1,314人が自宅の外や庭とかを走り、193人がトレッドミル。両方を切り替えながら走った人が70人くらい。トレッドミルもあった方がよさそうなので、どうすればいいか考えました。

バックヤードウルトラで何十時間も走るとなると家庭用のトレッドミルでは耐久性が足りません。大きな業務用のトレッドミルが必要ですが、僕の自宅は高層マンションなので運び込むのも設置するのも難しい。スポーツジムのトレッドミルは何十時間も使い続けるわけにはいきません。それに大会本番ではトレッドミルを走るときはその様子をウェブカムでzoomに映し続ける必要があって、これもジムでは難しそうでした。

いろいろ考えた結果、パワースポーツの滝川次郎さんに相談しました。鎌倉のOSJ湘南クラブハウスの地下に最近、「鎌筋」というプライベートジムができたのをご存知ですか?そこにトレッドミルを置いてQBUのために使わせてくれませんか、と相談したら、快諾してもらえました。

「鎌筋」に今回の挑戦のためにトレッドミルを設置した。

「鎌筋」に今回の挑戦のためにトレッドミルを設置。

これで日差しがあって気温の高い日中はトレッドミルを走り、夜の涼しい時間帯は鎌倉の海沿いを走るという作戦で行けることになりました。外を走るときは事故や時間のロスを避けたいので信号のないところにしたいと考えていたので、鎌倉の海沿いの歩道はちょうどいい。

それでトレッドミルを「鎌筋」に設置したのですが、業務用なので大人4人がかりで運び込んで、200ボルトの電源が必要だというので電気工事まですることになりました。5月にQBUに参加することを決めてから、この準備に1ヶ月かかりました。

DC:本番では作戦通りに行きましたか?

鎌倉の材木座海岸を走る上野さん。湿度が高く、早くから熱中症に苦しむことに。

QBUの本番で鎌倉の材木座海岸を走る上野さん。湿度が高く、早くから熱中症に苦しむことに。

本番では地下の「鎌筋」と外の気温や湿度を常時モニタリングして、数時間先の天気予報を確認していました。先週のスタート初日は雷と雨がすごかったので、天気予報をみながら、雨が止みそうなら次の1時間は外を走ろうとか、気温が上がりそうだから地下でトレッドミルを走ろう、といった感じです。

でも実際は想定以上に苦しむことになりました。土曜日の夜に走り始めて、日曜日の午前には早くも熱中症気味になっていました。夜の間は走ったのは海沿いで、気温は26℃程度ですが海からの潮風で湿度は90%近くありました。こうした湿度の高いコンディションの中を走るのは身体に堪えます。朝になって地下のトレッドミルを走り始めると、一気に体調を崩しました。地下にある「鎌筋」は窓が無く、シャッターを上げると外気が入って蒸し風呂状態になります。エアコンが設置されていないので、サーキュレーターを二台回していましたが気温27℃で湿度80%という環境。地下とはいえ、外でトレッドミルに乗っているのと同じような感じでした。普通なら完全に締め切って空調を管理した室内でやるんでしょうが、正直なところ地獄のような苦しさでした(笑)。

結局、本番では50時間で335kmほどを走り、そのうち外で海沿いを走ったのが120km。残りはトレッドミルでした。

フィジカルだけでなくメンタルが勝負を決めるからバックヤードウルトラは面白い

DC:高尾に続いてQBUでも最後の二人になるまで走り続けて、一対一で対決するかのように走り続ける経験をされました。やっぱりその高揚感が上野さんにとってのバックヤードウルトラの魅力でしょうか。

最後の二人になってからの気持ちの高まりというのもあります。ただ、バックヤードウルトラの一番面白いところは、僕ぐらいの年齢になってもトップを目指して闘えることだと思います。

最近では100マイルのように超長距離のレースであっても、トップレベルで競い合うにはスピードが必要になっていますよね。だからスピードに強みがある若い選手が勝つことになります。でももっと長い距離、長い時間のレースになると、ウルトラランナーとしての経験がモノをいう場面があると思います。ラズがいうように、バックヤードウルトラはメンタルとフィジカルが試される競技です。どんなにフィジカルが強い選手でも200kmも走ればその強さをキープできなくなる。そこからは精神面、メンタルの強さが鍵を握る。僕のようにさほど足が速くないランナーでも、巧みな作戦と強いメンタルで表彰台を狙うことができるのが面白いと思います。

DC:今回のQBUを経験して、10月の「ビッグドッグス」に向けて自信がつきましたか?

今年に入って2月の高尾、7月のQBUとバックヤードウルトラを二回経験して自分の体力、走力の底上げができたと感じています。10月の「ビッグドッグス」まではあと3ヶ月あります。コロナ禍もあるので予定通り開催されるかはまだわかりませんが、しっかり準備していくつもりです。

2019年Tarawera 100 mileで3位となった上野暁生さん(中央)

プロフィール・上野暁生 Ueno Akioさん:1972年生まれ。特段スポーツの経験はなかったが「ダイエットのために」36歳でランニングに取り組み始める。トレーニングで自宅から近い高尾を走るうちにトレイルランニング、ウルトラマラソンの魅力を知る。40代後半で2018年のOSJ KOUMI 100で2位、2019年Tarawera Ultramarathon 100 mileで3位となって表彰台に立つ。人事・採用コンサルティング会社の経営者として多忙な日々を送りながら、「チーム100マイル」のメンバーとして仲間と切磋琢磨しながら走ることを楽しんでいる。

DC Weekly 2020年7月29日 – Speedgoat、嬬恋、Davosのリザルト、球磨村で復旧に奔走する地下翔太さん、Hardrock 100のバーチャルレース

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(画像・Hardrock 100バーチャルレースのダッシュボード。)

トレイルランニング関連ニュース

熊本県球磨村で復旧に奔走する地下翔太さん

今月の熊本県南部、球磨川流域は豪雨による未曾有の被害がありました。災害について伝える記事の中で、地下翔太 Jige Shotaさんが球磨村職員として生まれ育った村の災害対応にあたっている様子が紹介されていました(「村の誇り」被災した公務員ランナー、祖父の死乗り越え復旧最前線で奔走<Yahooニュース、西日本新聞>)。記事にもあるとおり、地下さんは学生時代に箱根駅伝にアンカーとして出場。地元に戻って村職員となってから、2015年ハセツネCUPで6位、2017年霧島えびの高原で優勝、2019年OSJおんたけ100の100kmで2位とトレイルランニングでも活躍しています。

Hardrock 100のバーチャルレース開催中

アメリカ・コロラド州のサンフアン山地で毎年7月に開催されるHardrock 100は深い山岳エリアで開催される100マイルトレイルランニングレースとして人気の大会ですが、昨年はコース上に残雪が多かったことから、そして今年は新型コロナにより中止となりました。そのHardrock 100では9月7日までHardrock 100バーチャルレースを開催中です。バーチャルレースはいずれもエントリー料30ドルで三つの部門があり、リアルのレースと同じく100マイル・33,000フィートを走る、累積標高は問わず距離100マイルを走る、距離56.6マイルの「ハーフ」を走る、のいずれかが選べます。実際にコロラドに行けるなら最初のレース、まだ外出を控えるなら2番目のレースといった具合です。実際に走るのは一回でコース全部を走るのも、数日に分けるのもあり。GPSのログを送信するとリアルタイムで更新されるリーダーボードで他の参加者も含めた状況が分かるようになっています。ユニークなのは、リーダーボードの選手の名前をクリックすると、Googleマップを使ってその選手が進んだ距離に相当するHardrock 100の現在地点の様子が360度ビューで見られるところ。夏の間のランニングのモチベーションになりそうです。

ダミアン・ホール、イギリスの431kmのトレイルでゴミを拾いながらFKTを達成

Runner’s Worldの記事によれば、イギリスのウルトラランナーで、トレイルランニングについてのライターとしても知られるダミアン・ホール Damian HallがイギリスのロングトレイルであるPennine Way(268マイル<431km>)のFKTに挑戦し、61時間34分で新記録を達成。前週にホールの友人、ジョン・ケリー John Kellyが記録した64時間46分を3時間以上短縮しました。このコースでは1989年にマイク・ハートレー Mike Hartleyが記録した65時間20分が長くFKTとして破られずにいました。自然環境保護のための活動にも取り組んでいるホールは、今回コースを走る間にトレイルで見つけたゴミを拾いながら走ったとのことです。

先週末開催のイベント

7月25日土曜日

Speedgoat (50k)

アメリカ・ユタ州のスノーバード・スキーリゾートで開催。新型コロナ対策を行った上で開催された大会の様子はFacebookページで見ることができます。リザルトはこちら

7月26日日曜日

嬬恋スカイラン

群馬県嬬恋村。同じコースで毎週末に少人数のレースを複数回開催してタイム順で順位を決めるというフォーマットで開催されており、先週末は4回目が行われました。往復8km 620mD+を3往復するロングは第1回トップの星野誉貴 Hoshino Yoshiki、第4回トップの市村浩美 Ichimura Hiromiが男女それぞれで首位をキープ。2往復の「ミドル」は第4回トップの小田切将真 Shoma Odagiri、2回目トップの小林華蓮 Kobayashi Karen、1往復する「ショート」はともに4回目トップの保倉敏樹 Toshiki Hokura小林華蓮が首位となっています。最終回となる5回目は今週末の8月2日に開催され、翌週の三連休にはエリート部門のレースや、エキシビションとして下りのみを繰り返す(上りはロープウェイ)6時間の耐久ダウンヒルレースが予定されています。リザルトは大会ウェブサイトから。

7月25日土曜日 – 26日日曜日

Swiss Alpine Davos (68k, 43k, 23k, 10k)

スイス・ダボスで開催。ヨーロッパの歴史ある山岳ランニングレース、Davos Alpine Marathonを引き継いだ大会です。先週のこのコラムでは9月に延期される見込みとお伝えしていましたが直前まで検討が重ねられた結果、予定通り開催されました。開催にあたっては新型コロナウィルス対策のため、スタートはブロック別のウェーブスタート、コースでの応援は禁止、フィニッシュ後は直ちにフィニッシュエリアを立ち去る、といったルールの下で行われました。参加された方によれば晴天で風も穏やかな完璧なコンディションに恵まれた一日となったとのこと。土曜日のK43ではMatthias Kyburz(3時間0分)、Natascha Baer(3時間48分)、日曜日のK68ではRiccardo Montani(6時間12分)、Marcela Vasinova(6時間59分)がそれぞれ優勝しています。リザルトはこちら

今週末開催のイベント

7月30日木曜日 – 8月1日土曜日

(中止)Elbrus Race (111k, 57k, 46k, 33k, 22k, 8k)

ロシア、そしてヨーロッパの最高峰であるエルブルス山(5642m)の周囲のトレイルで開催され、111kmのレースの累積獲得高度は5,600mD+。レースは来年以降に延期となりました。

(中止)Tromsø SkyRace (57k, 32k, 15k, VK)

ノルウェーで開催される世界最高レベルにテクニカルな山岳レースは2014年から続く大会で、今年もスカイランナー・ワールドシリーズ Skyrunner® World Seriesのシリーズ戦となっていました。今年の大会は中止に。

8月1日土曜日 – 2日日曜日

Audi Power of Four Trail Run (50k, 25k)

コロラド州アスペン。この大会は今週末に開催予定。州による規制のため、1日のレースは50人までとなっていることから、例年とは異なり50kと25kを土日に分けて開催し、10kのレースは今年はキャンセルとなっています。

(中止)Angeles Crest 100

カリフォルニア州ロサンゼルス郊外で開催の100マイルレースで、アメリカの100マイルレースとしては最も伝統ある大会の一つ。

(中止)Canadian Death Race (125k)

カナダ・アルバータ州グランドキャッシュで開催の125kmのトレイルランニングレース。

(中止)Ijen Trail Running (100k, 70k, 42k, 21k)

インドネシア・ジャワ島で今年で5回目の開催。火山のカルデラ湖や硫黄の採掘地といったエリアをつなぐコースで開催されます。今年の大会は来年に延期に。

8月1日土曜日

Tushar 100K, and marathon, half marathon

アメリカ・ユタ州のツシャー山地で開催されるトレイルランニングレース。新型コロナ対策をとった上で開催されます。

8月2日日曜日

天塩岳速登競争(6.4km 884mD+)

北海道士別市。距離6.4kmで天塩岳山頂(1,558m)へと駆け上るバーティカルレースです。今年はスカイランニング北海道選手権となっています。

(中止)富士登山駅伝競走大会

静岡県御殿場市。御殿場駅前から山頂を折り返して御殿場市陸上競技場でフィニッシュする全11区から構成されます。45回目となる今年の大会は中止に。

(中止)西原村モーニングトレイル(16k)

熊本県西原村。ASO ROUND TRAILの会場ともなっている「俵山交流館 萌の里」を会場とする16kmなどのレースですが今年は中止に。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

「高尾マナーズ」がウェブサイトを公開、マナー集やトレイルマップなどの情報も。

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東京のトレイルランナーにとっては貴重な情報でいっぱいです。

高尾山でのトレイルランニングのマナー向上を呼びかける「高尾トレイルマナー向上委員会」(通称・高尾マナーズ)は先週、ウェブサイトを公開。活動状況やイベントについての告知のほか、高尾山でのトレイルランニングで提案する6つのマナーや、PDFファイルでダウンロード可能な高尾エリアのトレイルマップといったコンテンツが掲載されています。

高尾エリアの主なコースが紹介されている。

高尾エリアの主なコースが紹介されている。

トレイルランニングの6つのマナーを提案。

トレイルランニングの6つのマナーを提案。

昨年11月に「高尾マナーズ」が発足して以来、トークイベントや高尾山でのマナーガイドの配布といった活動をされていますが、現在はコロナ禍のためこうした活動はしばし休止中。しばらくはこちらのウェブサイトから情報を発信されることになりそうです。

ウェブサイトのブログに記事を書いておられる内坂庸夫さんには、今年4月にポッドキャストでお話を聞いています。

#011 内坂庸夫・厳しい状況下で励まし合うトレイルランナー、鎌倉や高尾で取り組んでいること、トレイルで心がけたいコミュニケーション 【ポッドキャスト・Run the World】

2020.04.11

パタゴニアの気候変動を止めるための挑戦・「リジェネラティブ・オーガニック」とは?

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猛烈な豪雨が河川の氾濫や山間地の土砂崩れを引き起こす。ヨーロッパアルプスの氷河はどんどん溶け出し、シベリアでは有史以来の気温38℃を記録する。2015年のパリ協定では平均気温の上昇を産業革命以前比で+1.5℃に抑えることを目標に掲げました。そして2018年のIPCC報告書は2030年にも目標である+1.5℃に達すると警告し、それを避けるには2030年までに2010年比で二酸化炭素排出量を45%削減する必要があるとしています。

パタゴニアでは7月30日から、気候変動を阻止するための取り組みとして取り組んでいる「リジェネラティブ・オーガニック」を紹介するキャンペーンを開始しました。コットンなど原材料となる作物を、リジェネラティブ・オーガニック農法という、土を耕さず雑草などの有機物で覆うことで生まれる多様な生物からなる豊かな土壌から作る。豊かで健康な土壌が大気中の炭素を地中にもどすことで気候変動をストップできる、といいます。

農地の土壌を健康にすることで大気中の二酸化炭素増加が抑えられる

パタゴニア日本支社環境・社会部門シニアディレクターの佐藤潤一さん

パタゴニア日本支社環境・社会部門シニアディレクターの佐藤潤一さん

キャンペーンに先立って行われたプレス説明会で、パタゴニア日本支社環境・社会部門シニアディレクターの佐藤潤一さんは「アパレルと靴で世界全体の温室効果ガスの8%を排出しており、これからの10年で排出量は49%増加するという研究結果がある」と説明。これに対してパタゴニアでは、2025年までに再生可能またはリサイクル素材のみで製造することで二酸化炭素の排出そのものを抑制する取り組み、そして同年までに電力調達先の切替や再生可能エネルギー発電施設への投資によって実質排出ゼロ(カーボンニュートラル)とする取り組みを進めてきたといいます。リジェネラティブ・オーガニックは待機中の炭素を土に戻す、という第三の取り組みという位置づけです。

インドでのコットン農場の様子。

インドでのコットン農場の様子。

1996年からパタゴニアがコットンに100%使用しているオーガニックコットンは従来の農法に比べて環境負荷が少ない、というもの。これに対して「リジェネラティブ(再生)・オーガニックは環境負荷を低減するだけでなく、実施すればするほど土壌が改善して環境が再生される」(佐藤さん)といいます。

福島大学農学部・金子信博 教授

福島大学農学部・金子信博 教授

土壌の生態系や多様性を研究する金子信博教授(福島大学農学部食農学類)が続いて登壇。土壌が健康な状態となることで気候変動が抑えられるメカニズムを解説します。地球全体でみた場合、二酸化炭素排出源は化石燃料の消費だけではなく、森林や草原を切り拓き土壌を痩せさせながら特定の作物を作るという従来型農業も大きな排出源となっている。こうした近代的な農業のやり方を改めることが気候変動を抑制することにつながり、具体的には「土壌撹乱を防ぐ」、「地表を裸にせず雑草のような有機物で覆う」、「輪作や混作をする」という三つの原則からなる「保全農業」が国連食糧農業機関(FAO)により提唱されています。

地球規模でみれば農地が有機物の形で蓄えている土壌炭素は大気中の二酸化炭素よりも桁違いに多く、「保全農業で土壌炭素を一年で0.4%増やせば、その年の大気中の二酸化炭素増加分を全て相殺できる。土壌の劣化に対して農薬や化学肥料に頼るのではなく、農業のやり方を改善することが大切だ」と金子教授は土壌の健康が気候変動を防ぐカギとなることを訴えました。

綿花農場にはマリーゴールドも植えられている。害虫を綿花から遠ざける効果があるという。

綿花農場にはマリーゴールドも植えられている。害虫を綿花から遠ざける効果があるという。

認証制度を立ち上げて農家とwin-winの関係を作る

近代的な農業では長い時間をかけて豊かな土壌を育んでいた森林や草原を切り拓いて、そこに蓄積された有機物を搾取して作物を作り、化学肥料で延命してきました。それに対してリジェネラティブ・オーガニックはこの仕組みを逆転させて、農業を通じて大気中の二酸化炭素を取り込むことで土壌を健康にするわけです。農業と地球環境の両方にとってプラスとなる可能性があります。

パタゴニアでは他のブランドとともに2017年にリジェネラティブ・オーガニックの認証制度と認証機関を設立。制度運用のパイロット期間にはニカラグアでのマンゴー農園とインドでの綿作農園についてパートナー農家とともに参加します。二年間のパイロットプログラムを経て、ニカラグアの「ソルシンプレ」によるマンゴーはジェネラティブオーガニック認証を取得、「パタゴニアプロビジョンズ」の製品に使用されています。コットンについても認証を目指している段階。

伝統的なやり方で5種類の植物の葉をすりつぶして殺虫剤を作る。

伝統的なやり方で5種類の植物の葉をすりつぶして殺虫剤を作る。

認証制度は土壌の健康に加えて、動物福祉、社会的公平性が3本柱となり、各分野については既存の認証制度を活用。その上で土壌を保全する農業のやり方について段階的に基準を設け、最上級のゴールドのほか、シルバー、ブロンズの三段階の認証を設定し、認証済み製品としてロゴを使用することができる、というわけです。

ニカラグアの「ソルシンプレ」農場ではシングルマザーの女性を積極的に雇用して社会的自立を支援している。

ニカラグアの「ソルシンプレ」農場ではシングルマザーの女性を積極的に雇用して社会的自立を支援している。

リジェネラティブ・オーガニックのコットンTシャツとマンゴースナック

パタゴニアはインドの150以上の農場と提携して同社として初めてのリジェネラティブ・オーガニック認証・パイロット・コットンを調達。2020年秋冬シーズンには新製品としてこのコットンを使用したTシャツを発売予定(現時点ではまだパイロット段階で認証されていませんが、認証取得に向けて調整中)。説明会ではインドの農場で綿花の間に唐辛子やマリーゴールドが植えられている様子が紹介されました。

加えて、パタゴニアの食品ブランド「パタゴニア プロビジョンズ」からはニカラグアの「ソルシンプレ」農場で栽培されたマンゴーを使い、唐辛子を加えた甘くてスパイシーなドライフルーツも登場しています。こちらのマンゴーはリジェネラティブ・オーガニック認証のシルバーを取得済み。説明会ではマンゴーの隣にコーヒーやバナナが植えられている様子や、農場で収穫作業にあたる女性の様子が紹介されました。農場ではシングルマザーの女性を積極的に雇用し、彼女たちがその子どもたちのための学費を賄えるよう支援しているといいます。

パタゴニアがいち早く取り組んできたオーガニックコットンについても、実は市場全体でみれば普及率はわずかに止まっているとのこと。リジェネラティブ・オーガニックについても効率や採算だけを考えれば魅了的なビジネスではないはず。パタゴニアの佐藤さんは「ブランド、農場、そこで働く人、消費者の皆さんの誰にとってもwin-winとなるのがリジェネラティブ・オーガニックです」と説明会を締めくくりました。地球規模の課題にまだ誰も試していないアプローチで取り組んでいく、パタゴニアの本気をみた気がしました。

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DC Weekly 2020年8月3日 –ゴールデン・セグメントは武尊山山麓の26kmに、Speedgoat、「木ぐるぐる2時間耐久」、天塩岳速登競争のリザルト

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(画像・8月1日土曜日に行われた「木ぐるぐる2時間耐久レース」より。Photo by Goshi Osada)

トレイルランニング関連ニュース

「Golden Trail World Championship」に招待される日本代表を決めるゴールデン・セグメントは武尊山山麓(群馬県片品村)の26kmに設定

サロモンのサポートのもと、40−80kmの距離のトレイルランニングレースからなるシリーズ戦として近年注目されているGolden Trail Seriesは新型コロナのためにシリーズを構成する大会の中止が相次いだため、シリーズ自体が中止に。このため、今年は特別に「Golden Trail World Championship」を開催することを5月に発表しています。これは10月末に北大西洋のアソーレス諸島(ポルトガル)で10月29日から11月1日まで、26kmから36kmまでの4つのレースを毎日開催してその合計タイムを争うステージレース形式のイベントとなり、登りセクション、下りセクションなどの速さで決める特別賞も設けられます。総額10万ユーロの賞金も設定されています。

この大会には昨年のGolden Trail Seriesの上位入賞者のほか、世界各国から選ばれた選手を招待(航空券、滞在費を大会が負担)。招待選手の選定は、「今年7月1日から10月1日までに開催予定の大会またはトレイルの区間(セグメント)を各国について一つ指定し、そのレース結果または区間を走った記録について順位を集計。各国の競技人口に応じた招待枠を上限に招待。」というものです。

日本については男女各1名について国内で代表選定の大会が指定される見込みでしたが、7月に入ってトレイルのセグメントを指定することと変更されていました。そして7月31日に「ゴールデン・セグメント・ジャパン」として群馬県片品村の武尊山山麓の26kmのコースが指定されました。このセグメントはStravaのセグメントとなっており、タイムのランキングはStravaの機能を使って行われます。従って代表選定に参加するにはStavaの会員となってStravaのアプリなどの機能を使って自分でセグメントを走ることになります。代表選定の締め切りは10月1日です。

丹羽薫さんの「Shiga1 FKTへの挑戦」4回シリーズの動画エピソードの公開がスタート

当サイトもお伝えした6月の丹羽薫さんによるShiga1 FKTへの挑戦。そのドキュメンタリーが4回のシリーズでYouTubeで公開されます。第一話は7月31日に公開されており、今週も新エピソードが公開される予定です。

長田豪史プロデュース「木グルグル2時間耐久レース」

新型コロナウィルスでランニングイベントが次々に中止となっていった4月、長田豪史 Osada Goshiさんは自宅アパートの階段上り下り21時間で標高差8,848mD+を達成、翌週には一本の木の周りの一周15mを10,667周して54時間40分で100マイルを完走。クレイジーな挑戦は様々なメディアでも紹介されて話題になりました。その長田さんが先週末の8月1日に自らがプロデュースする「木グルグル2時間耐久レース」を開催しました。これは4本の木を繋ぐ一周70m・累積獲得高度3mD+のコースを制限時間の2時間以内に何周できるか、というイベント。手作りのゲートが設けられたコースで午前の部、午後の部のレースが行われました。午前の部には6人が参加し、256周した應戸慎哉さんが優勝。午後の部は263周で長尾暁人さんが優勝しました。イベントの様子は長田豪史さんのFacebookページでみることができます。

イギリスのBob Graham Roundでベス・パスコールが女性によるFKTを更新

イギリス・湖水地方の42の山をつないで一周するチャレンジ、ボブ・グラハム・ラウンド Bob Graham Roundで、ベス・パスコール Beth Pascall(イギリス)が最速記録を更新しました。ボブ・グラハム・ラウンドは湖水地方(Lake District)にある42の山(fells)をつないでスタート地点となるケズウィックの町に戻るというチャレンジで、1932年にボブ・グラハムが挑戦して初めて24時間以内で完走したことで知られるようになりました。42の山をどうつなぐかは自由ですが(イギリスのフェルランニングでは多くの場合、整備されていないところを自分でルートを選んで走るといいます)、おおよそ66マイル(102.6km)、累積獲得高度2万7千フィート(8,230m)となります。パスコールは14時間34分26秒を記録し、2016年4月にジャスミン・パリス Jasmin Parisが記録した15時間23分を約50分上回りました。ちなみに男子のFKTは2018年7月にキリアン Kilian Jornetが記録した12時間52分となっています。

パスコールは最近ではUTMB®︎で2018年に4位、2019年に5位となっているほか、昨年のWestern Statesでも4位となっています。iRunFarとのインタビューによれば、今年の夏は小児科医としての仕事を休み、Western Statesに向けてアメリカでトレーニングを予定していたとのこと。新型コロナウィルスでその予定を取りやめてからは医師として仕事をしながら、今回のボブ・グラハム・ラウンドに挑戦することを決めたそうです。

先週末開催のイベント

8月1日土曜日 – 2日日曜日

Audi Power of Four Trail Run (50k, 25k)

コロラド州アスペン。この大会は今週末に開催予定。州による規制のため、例年とは異なり50kと25kを土日に分けて開催し、10kのレースは今年はキャンセルとなっています。リザルトはこちら

8月1日土曜日

Tushar 100K, and marathon, half marathon

アメリカ・ユタ州のツシャー山地で開催されるトレイルランニングレース。新型コロナ対策をとった上で開催されます。リザルトはこちら

8月2日日曜日

天塩岳速登競争(6.4km 884mD+)

北海道士別市。距離6.4kmで天塩岳山頂(1,558m)へと駆け上るバーティカルレースです。スカイランニング北海道選手権ともなっていました。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。

嬬恋スカイラン

群馬県嬬恋村。往復8km 620mD+のコースで行われる「ノーマル部門」の第5回、最終戦が行われ、5回分のリザルトから決まる総合成績が決まりました。3往復するロングは星野誉貴 Hoshino Yoshikiが第一回で出したタイムで首位をキープして優勝、第5回トップの秋山穂乃果 Akiyama Honokaが女子優勝、2往復の「ミドル」は第4回トップの小田切将真 Shoma Odagiri、2回目トップの小林華蓮 Kobayashi Karenが首位を守ってそれぞれ優勝。1往復の「ショート」はともに最終日の5回目トップの高村純太 Junta Takamuraが男子優勝、第4回トップの小林華蓮がミドルに続いて女子優勝という結果でした。リザルトは大会ウェブサイトから。

今週末開催のイベント

8月7日金曜日 – 11日火曜日

(中止)Bigfoot 200 (200m)

アメリカ・ワシントン州のカスケード山脈で開催の200マイルのトレイルランニングレース。コースは206.5マイル(332km)、12,802mとなります。今年は新型コロナウィルスのため中止に。

8月7日金曜日 – 9日日曜日

(中止)Fat Dog 120 (120m)

カナダ・ブリティッシュコロンビア州で開催の193kmで累積獲得高度8,682mD+のトレイルランニングレース。こちらも新型コロナウィルスのため中止。

8月8日土曜日 – 16日日曜日

(中止)トランスジャパンアルプスレース

2年に一度開催される日本海から日本アルプスを縦走して太平洋までの415kmを8日以内で完走を目指す山岳耐久レース。注目度の高い大会ですが今年の大会は「延期」と発表されています。2021年への延期なのか、2022年に開催されるのか、といった今後の見通しについては現時点ではまだアナウンスされていません。

8月8日土曜日 – 10日月曜日

嬬恋スカイラン

群馬県嬬恋村。前週まで5回にわたって行われた「ノーマル部門」のレースに続いて、この週末には「エリート部門」として土曜日にバーティカルレース、日曜日にスカイレース、そして10日月曜日には登りはロープウェーを使い、下りだけを6時間繰り返す「爆坂RUN」が予定されています。

大阪 夏の陣・くろんど輪舞曲(ロンド)180K(180k, 120k, 60k)

大阪府交野市。大阪府民の森・くろんど園地に設けられる8.6kmの周回コースで開催され、7周する60km、14周する120km、21周する180kmの三つのレースが行われ、180kmの制限時間は40時間となっています。新型コロナ対策として参加資格を関西の二府五県在住者に限るほか、大会運営でも感染対策を行った上で開催されます。

8月8日土曜日

North Downs Way 100m

イギリス・ロンドン南郊のノースダウンズウェイ・トレイルで開催。この大会は感染対策を行った上で開催される予定です。

(中止)Eastern States 100

アメリカ・ペンシルベニア州北部のLittle Pine State Parkで開催。164km 6,116mD+のシングルループのトレイルランニングレース。今年の大会は中止に。

8月9日日曜日

(中止)やっちろドラゴントレイル(60km)

熊本県八代市坂本町。今年で三回目を迎える60km、4,070mD+のレースですが、7月の豪雨災害により大会は無期限の延期を決めています。

(中止)Sierre-Zinal (31k)

スイス南部のシエラ Sierraからツィナル Zinalへの31km・2200mD+/1100mD-の山岳マラソン。1974年に始まる大会は幅広く有力なアスリートを集める大会として注目されてきた大会で、昨年に続いてGolden Trail Seriesのレースともなっていました。すでにこのDC Weeklyでもお伝えしている通り、新型コロナのため例年通りの形式での大会は中止ですが、8月17日から9月18日の一カ月間に「フリーフォーム」形式で大会を開催することとなっています。今年の大会にエントリーしていた選手は期間中の1日を選んでコースを走れば公式に完走が認められます。この期間はスタート地点に受付、フィニッシュ地点で計時が毎日設けられることになっています。

Ubaye Trail Salomon (42k, 23k, 12k)

フランス南部のバルスロンネットを拠点に開催。現時点では予定通りレースを開催予定で約1,500人がエントリーしています。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

第15回湘南国際マラソンは2月28日開催へ、トレイルランニングではおなじみのマイボトルで走るロードマラソンは「世界初」

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ロードマラソンもこれからはマイボトル、マイカップで走る時代になるのかも。

大会で使用するマイボトル、マイカップのイメージ(大会配布資料より)

大会で使用するマイボトル、マイカップのイメージ(大会配布資料より)

湘南国際マラソンは8月4日(火)に行った記者発表で今年12月6日に開催予定だった第15回湘南国際マラソンを延期して来年2021年2月28日に開催すると発表。同時にこの大会ではゴミを出さない大会を目指し、給水所に使い捨てカップを置かず、選手は給水を受けるためにマイボトル、マイカップを用意して参加することとなりました。具体的にはスタート時に満水にしたマイボトルを携帯することが競技規則に加わり、マイカップの携帯も「強くお勧め」。従来の13箇所の給水ポイントに代わり、10個ほどの蛇口を備えた給水ポイントを500箇所用意する予定。大会では湘南国際マラソンは世界初のマイボトル・マラソンとなる、としています。また、今回の大会は新型コロナウィルスの感染防止対策もあわせて行うこととなります。

新型コロナの状況を見極める必要から開催可否の判断を12月10日に行う予定。なお、2月の開催とするのは今回だけで、今後は「従来通りに毎年12月に開催する予定」としています。

これまでの湘南国際マラソンでは毎年2万5千人の参加選手に対して、13箇所の給水ポイントを設け、水とスポーツドリンクのペットボトルをあわせて3万1500本、使い捨てカップは50万個を用意していたといいます。新しい給水のやり方については検討中ながら、給水ポイントを500箇所へと大幅に増やし、20リットルの金属製ジャグおよび12リットルのリターナブルボトルを一箇所につきあわせて10個ほど用意。「あわせてコース上には5000個ほどの蛇口があることになり、給水で密になる状況は避けられる」としています。水だけではなく、スポーツドリンクなども用意する予定です。

河野太郎・大会名誉会長

河野太郎・大会名誉会長

河野太郎・大会名誉会長は「コース上の給水ポイントからペットボトルや使い捨てのカップを全部なくすと二酸化炭素の排出量を約6トン削減できる、と試算している。そして選手のために50トンの水を給水するシステムは、災害時には地域に水を供給する防災のためのシステムとなる。地域の皆さんがボランティアなどの形で参加してくださることで成り立っている大会だが、いざというときには恩返しができるマラソン大会にしていきたい。選手のみなさんには自分自身のためにマラソンを走るのに加えて、地球環境そして防災についても考えていただければと思う。」と話しました。

大会のプラスティックフリー監修を務める高田秀重・東京農工大学教授は、プラスティックゴミは世界的な問題となっており、プラスティックが破砕され、微細化したマイクロプラスティックは有害な化学物質を生物に取り込む運び屋にもなっており、人間への影響も大きいと説明。感染予防監修の玉城英彦・北海道大学名誉・客員教授は3密の回避やソーシャルディスタンシングといった感染予防の基本を駅から大会会場、コースまで立体的に適用していくとして「湘南国際マラソンをコロナ禍を乗り越えていく世界初の試みにしていこう」と訴えました。

高田秀重・東京農工大学教授

高田秀重・東京農工大学教授

玉城英彦・北海道大学名誉・客員教授

玉城英彦・北海道大学名誉・客員教授

マイボトルといえば、トレイルランニングでは必携品といえるアイテム。マイカップも自然環境への配慮のためとして、トレイルランニングの大会では必携品として使い捨てのカップは使わないという大会が増えています。今回の湘南国際マラソンで新たにスポンサーとなるザ・ノース・フェイスでは「トレイルランニングの普及に努めてきた経験を生かし、一石を投じるつもりで湘南国際マラソンに環境に配慮したロードランニングのレースのあり方を提案させていただいた」(森光・株式会社ゴールドウイン常務執行役員)とのこと。

実際のところ、順位やタイムのことを考えればマイカップとかマイボトルを身につけて走るのは選手にとって不利に違いないでしょう。また、高田教授によればマイボトルやマイカップの材質も理想をいえば金属が望ましいそうです。

しかし、世界中が新型コロナウィルスによって有無をいわさず新しい生活様式を求められるようになった今は、地球環境についても新しい考え方を実行する好機なのでしょう。新しい挑戦への決意を「Take Action, Be Better」のキャッチフレーズにこめた第15回湘南国際マラソンのエントリーは9月5日に始まります。

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ITRAのデータでみるトレイルランニングの現在

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ITRA(国際トレイルランニング協会)は世界中で開催されるトレイルランニング・レースのコースやそのリザルトを日々収集しています。そうしたデータを元にして申請に応じてレースを審査してITRAポイントを承認しているほか、レースに参加した選手の成績を客観的に比較できる成績指数(パフォーマンス・インデックス Performance Index)を算出して公開しています。

ITRAはこのたび、2013年から蓄積してきた195の国と地域の25,700のレースに参加した177万人の選手が記録した計500万件のリザルトを集計し、「2020 Trail Running Infographics」として公開しました。そのデータはいろいろな解釈の仕方ができるので、それだけでトレイルランニングについての真実が明らかになるわけではありません。しかし、身近な経験と合わせることで様々な仮説を立てることができるかもしれません。

この記事ではITRAが公開したインフォグラッフィックについて一部を紹介します。

ランナーの数では男女差は縮小

ITRAによれば大会に参加した選手の男女比は男性が77%、女性が23%。そして女性の割合は2013年の18%から2019年は26%になっていて、年々男女の人数の差は小さくなっていることがうかがえます。

年々男女の人数の差は小さくなっている。

年々男女の人数の差は小さくなっている。

国別で女性の比率が最も高いのはフィンランドで43%。オーストラリア(41%)、アルゼンチン(39%)、カナダ(39%)、ニュージーランド(38%)が続いています。

アジアには今後の可能性が開けているのかも

成績指数からみると、レースに参加した結果を元に成績指数が算出される選手の数は2015年の60万人から2019年には117万人とほぼ倍増。一方で成績指数の平均値は選手数の増加とともに低くなっています。トレイルランニングの競技層が広がって、様々な人たちが安心してトレイルランニングに参加するようになったことが背景にあるように思われます。

成績指数の平均値は選手数の増加とともに低くなっている。

成績指数の平均値は選手数の増加とともに低くなっている。

世界の地域別に成績指数の平均値をみると、ヨーロッパや北米、オセアニアに比べると、アフリカや南米、アジアは低くなっています。とりわけアジアは一段低いですが、その背景にはトレイルランニングのレースに参加する層が他の地域に比べて厚いのではないかと思われます。もしそうであれば、アジアではトレイルランニングというスポーツが幅広く社会に受け入れられている、といえるかもしれません。

アジアは成績指数の平均値はやや低い。

アジアは成績指数の平均値はやや低い。

距離や累積高度によるレースの分類でいえば、S(概ね距離で30-50km)とM(同じく50kmから80km)であわせて全体の54%を占めています。100km以上に相当するXLや100マイル以上に相当するXXLは全体の1割に止まります。

S(30-50km)、M(50-80km)のレースの参加者数が全体の半分以上となっている。

S(30-50km)、M(50-80km)のレースの参加者数が全体の半分以上となっている。

成績指数でみると走力のピラミッド構造が明らかに

選手の成績指数による分布もインフォグラフィックスでは示されています。成績指数を算出するにあたっては、陸上競技やマラソンなどの世界記録などを元に、ある距離と累積獲得高度を持つコースで理論上記録される可能性のある最速タイムを算出。この最速タイムを記録した場合を1000とし、そのタイムにどの程度遅れるかを指数化したのが成績指数となります。

成績指数の分布。

成績指数の分布。

インフォグラフィックではITRAがインターナショナルレベルのエリート選手と定義する男性825点以上、女性700点以上の選手の数をヒストグラムで示しています。その分布は上位ほど人数が少なくなるピラミッド型で、UTMB®︎でトップ10に入るレベルの「トップエリート」に相当するのは男性で33人、女性で20人となっています。

エリート選手の間ではその実力はピラミッド上に分布している。

エリート選手の間ではその実力はピラミッド上に分布している。

シニアでもハイパフォーマンスをキープできるが男女差もある

トレイルランニングでは40代になっても走力を維持できる、とりわけ女性選手は長期間トップレベルのパフォーマンスをキープすることが多い。身の回りでも世界のレースのリザルトからも、そのように思い当たることが多いですが、これもITRAのデータで裏付けられています。

各年齢の上位100人の成績指数を比較すると、男性の場合は27歳で成績指数がピークとなり、以後は緩やかに指数がダウンして46歳で19歳の平均指数のレベルに達します。一方で女性は24歳で成績指数がピークに達してからは概ね40歳までそのレベルをキープ。19歳の平均指数のレベルにまでなるのは49歳で、男性よりも遅いことがわかります。

年齢による成績指数の推移は男女の間で差があることが示唆されている。

年齢による成績指数の推移は男女の間で差があることが示唆されている。

ただ、このことがトレイルランニングにおける男女の体力や運動能力の特徴を示しているかどうかは慎重に解釈する必要があるかもしれません。さらに多くの女性がトレイルランニングをはじめたら、競争のレベルが上がるとかプレッシャーが高まるといった理由で男性と同じようになるということもあるかもしれません。また、このデータは同じ選手の成績指数の推移を追ったデータではないことから、実際に長い時間をかけて同じ選手のキャリアと成績の推移を調べれば、また異なる結果となることがあるかもしれません。

今年の夏はトレイルランニング・レースのリザルトを知らせるニュースをお伝えする機会があまりありませんが、こうしたデータを眺めてみることで新しい発想が生まれてくるかもしれません。

(source: ITRA

コートニー・ドウォルター Courtney Dauwalter、800kmのコロラドトレイルのFKTに向けてスタート

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レースが開催されない今年は世界各地からFKT(最速記録)へ挑戦するというニュースが入ってきます。なかでもこの挑戦は今年のFKTの中でも記憶に残るものとなるかもしれません。

(写真・2018年UTMFで優勝して笑顔を見せるコートニー・ドウォルター。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan)

昨年のUTMB®︎チャンピオンであり、2018年にUTMFで優勝、Western Statesで優勝(大会新記録)したコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalterが自らが住むアメリカ・コロラド州のロングトレイルであるコロラドトレイルのFKTに挑戦するため、8月5日(水)にスタートしました。現在の最速記録は男性による8日0時間30分(2017年9月、ブライアン・ウィリアムズ Bryan Williams)。今回、この記録を上回って男女を通じた最速記録が生まれるとすれば、そのニュースが伝えられるのは日本時間で8月14日(金)午前5時30分ごろとなる見込みです。GPS端末によるトラッキングはこちらのウェブサイトから。

ドウォルターがアメリカのウルトラランニングの世界で注目されるようになったのは2017年のMoab 240で男女を通じた総合優勝を果たしたあたりから。その後は海外のレースで勝利を重ね、昨年のUTMB®︎の勝利でその名は世界に知られることになりました。今年は7月に開催予定だったHardrock 100に参加する予定でしたが、大会はCOVID-19のため中止に。目標をコロラド州を代表するロングトレイルに切り替えることになりました。

コロラドトレイルのコース概要。

コロラドトレイルの概要。By Lou Sander – Own work, CC BY-SA 4.0, Link

コロラド・トレイル Colorado Trailはコロラド州の南西部にあるデュランゴ Durangoと中央部のデンバー Denverをつなぐ486マイル(782km)のトレイルで累積獲得高度は約3万メートル。最高標高は4,045mという山岳コースとなります。途中にあるCollegiate Peaksの東側を進むルートと西側を進むルートがあり、西側の方がやや距離が長く累積獲得高度も大きくなります。どちらの向きに進むかと東側ルートか西側ルートかでコースは異なるほか、走る間のサポートに関する制約(仲間によるサポートやペーサーが伴走するサポーテッド、予め水や食料を配置しておいたり買い求めたりするセルフサポーテッド、途中で人の手による一切の補給を受けないアンサポーテッド)によっても条件が異なります。今回、ドウォルターが挑戦するのはデュランゴからデンバーへ、西側ルートを辿るコースでサポーテッド、ということになります。これまでにデンバーに向かい東側ルートを通るコースではスコット・ハイミー Scott Jaimeが8日7時間40分(2013年8月)、デュランゴに向かい東側を通るコースではジョナサン・バシャム Jonathan Bashamが8日13時間28分(2006年7月)、ベッツィ・カルメイヤー Betsy Kalmeyerが9日10時間52分(2003年9月)、デュランゴに向かい西側を通るコースでジョー・グラント Joe Grantが8日20時間9分(2019年9月)を記録しています(FastestKnownTime.comより)。今回、ドウォルターが挑む8日0時間30分はこれらのいずれをも上回る記録ということになります。

ドウォルターは8月5日(水)午後2時(日本時間6日午前5時)ごろにデュランゴをスタートした模様。GPS端末によるコース上の現在地のトラッキングはこちらのウェブサイトから見ることができます。

 

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And so it begins…. 😂

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DC Weekly 2020年8月11日 – Spartan Trail World Championshipが開幕、コートニー・ドウォルターは体調不良でコロラドトレイルFKTを断念、リザルト紹介は嬬恋、くろんど輪舞曲

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(写真・8月1日のSpartan Trail World Championship開幕戦、Fjällmaraton 100kで優勝したSimen Hjalmar Wästlund(ノルウェー) Photo by Jonas Höglu)

動画でお送りする”DC weekly Review”はこちらから。

トレイルランニング関連ニュース

Izu Trail Journey、コロナ対策と二つ目のレースについて状況をアップデート

今年は12月13日に開催予定のIzu Trail Journeyは昨夜の2020年8月10日(月)夜、ライブ配信を行い、大会総合プロデューサーの千葉達雄さんが今年の大会の運営方針の検討状況をライブ配信で説明しました。新型コロナウィルスの感染対策として参加選手、ボランティアの皆さんに直前2週間の検温などの健康管理を求める、レース中のエイド運営の見直し、私的サポートの禁止といったと大会そのものの運営のほか、大会前日の受付を三島市でも行うといったより幅広い大会運営についても見直すことを説明しています。こうした見直しの一環として、例年に準じた72kmのレースに加え、エイドステーションを設けない28kmのレースも開催する方針とのこと。もっとも、大会開催の可否については新型コロナの感染状況を見極めて8月下旬に判断される予定で、依然今年の大会が中止となる可能性はあります。72kmのレースは来年2021年に開催予定のトレイル・マウンテンランニング世界選手権の日本代表選考レースの一つとなっています。

トレイルランニングの新しい世界シリーズ戦、”Spartan Trail World Championship”が開幕

北米を中心に、オブスタクルレース(障害物レース)のブランドとして知られるSpartan Raceが今年から “Spartan Trail World Championship”(STWC)を立ち上げ、今年4月のPatagonia Run(アルゼンチン)で開幕し、来年2月のTransgrancanariaでの最終戦まで7レースがラインナップされていました。しかし目下のコロナ禍で開幕戦のPatagonia Runが11月に延期となるなどした結果、先々週の8月1日にスウェーデンで開催されたフィヨールマラソンFjällmaratonがシーズン開幕戦となりました。大会は新型コロナウィルス対策のため、オープンレースとエリートレースを分けてスタートする形式を取ることになりました。

STWCの”Trail Ultra”カテゴリーとなる100kのレースでは100kmのレースには初挑戦というSimen Hjalmar Wästlund(ノルウェー)が8時間50分で優勝。昨年のUTMB®︎チャンピオン、パウ・カペル Pau Capell(スペイン)を相手に終始リードをキープして約15分差をつけての優勝は相当な実力の持ち主です。パウ・カペルは2位で9時間4分、3位はヨハン・ランツ Johan Lantz(スウェーデン)で9時間35分。このほか男子では昨年のUTMFで6位だったカール・ソーマン Carl Johan Sörman(スウェーデン)が6位、2018年UTMB®︎で3位のジョルディ・ガミト Jordi Gamito(スペイン)が同着の6位となっています。女子のレースはスペインのトップアスリート、アサラ・ガルシア Azara Garciaが10時間37分で優勝。2位はアンナ・カールソン Anna Carlsson(スウェーデン)で11時間2分、3位にレナ・トリレーフ Lena Trillelv(スウェーデン)で11時間16分という結果でした。リザルトはこちら

大会オリジナルのKIA Fjällmaraton 43kもSTWCの”Trail Run”カテゴリーのレース。Olle Kalered(スウェーデン)が大会記録を4分上回る3時間27分の大会新記録で優勝。10分半の差でMårten Boström(フィンランド)が3時間38分で2位に。3位はJesper Lundberg(スウェーデン)で3時間42分でした。女子のレースはオリエンテーリング選手で2018年のスカイランニング世界選手権金メダリストのトーブ・アレクサンデルソン Tove Alexandersson(スウェーデン)が大会新記録の3時間52分で優勝。男女総合で6位という好成績で2位には16分という大差でした。2位はFanny Borgström(スウェーデン)で4時間9分、3位はJohanna Åstrom(スウェーデン)で4時間18分でした。リザルトはこちら

STWCの次のレースはアメリカ・カリフォルニア州で9月12日に開催のKodiak Big Bearとなっています。

コロラドトレイルに挑戦中のコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalter、500kmを走ってから挑戦を中止することに

昨年のUTMB®︎チャンピオン、コートニー・ドウォルター Courtney Dauwalterがアメリカ・コロラド州の486マイル(782km)のコロラドトレイルのFKTに向けて8月5日(水)午後2時(日本時間6日午前5時)ごろにスタートしたことは当サイトでもお伝えしていました。その後、順調に進んでいましたが310マイル(約499km)に達していた6日目の8月10日(月)朝(日本時間同日夜)に体調不良のため挑戦を中止しています。TailwindのInstagramアカウントが紹介するサポートクルーの話ではサポート車での休憩中の息が荒く、救急外来での診断を受けたところパルスオキシメーター(血中酸素濃度を測る機器)の数値が低く急性気管支炎との診断を受けて治療を受けて回復に向かっている模様です。

 

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Courtney ended her incredible Colorado Trail effort this morning after 310 miles. We will have an in-depth update from @maggatronruns tomorrow, but here is the immediate report from @thedaucrew. – “This definitely wasn’t in the plan. 😣 Court was wheezing pretty badly in the RV this morning, so we made the call to take her to the ER in Leadville. Her pulse ox was 70 so the doctors here ran a full range of tests for HAPE, blood clots, and other severe conditions. Thankfully those were all ruled out and they determined she has acute bronchitis. It could have been allergy induced, or from all the dust/dry heat, plus an impaired immune system from her run. She’s on oxygen until her levels come back up, but she should be perfectly healthy in a few days. We’re crushed it had to end this way, but ever grateful she’s on the mend.” – Thank you to everyone who virtually cheered and supported Courtney during this run! Join us in wishing her a speedy recovery!

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モンブランの氷河が大規模な崩落の危機、クールマイユールで住民が避難、フェレ谷への道路は閉鎖に

先週伝えられたニュースによればモンブランのイタリア側、プランパンシュー(Planpincieux、イタリア語でプランピンチエウクス)氷河で巨大な氷塊が迫り出して崩落しそうな状況にあるとして、住民75人が避難し、氷河の麓に当たるフェレ谷へと繋がる道路を閉鎖するなど警戒体制をとっているというニュースがありました。

温暖化が進む中でモンブランの氷河が溶け出しているというニュースはたびたび伝えられています。UTMB®︎のコースと見比べてみると崩落の恐れがある氷河はコースからはフェレ谷を挟んだ向かい側となります。フェレ谷を通る道路はグラン・コル・フェレへと向かうアルニューバ Arnouvaのエイドやその先にあるエレナ小屋 Refuge Hélèneへのアクセスに不可欠な道路です。

先週末開催のイベント

8月8日土曜日 – 10日月曜日

嬬恋スカイラン

群馬県嬬恋村。7月の初めから毎週末に開催されてきた大会の最後となる週末にはエリート部門のレースが開催され、これはスカイランニング特別交流戦として国内の有力選手が集まる大会となりました。リザルトは大会ウェブサイトから。

土曜日のバーティカルは標高差600mの登りを二本走った合計タイムで争うもので吉住友里 Yoshizumi Yuri (1時間2分)、上田瑠偉 Ueda Ruy (46分46秒)がそれぞれ男女のレースを制しました。女子では高村貴子 Takamura Takako が1時間6分で2位、3位は楠田涼葉 Kusuda Suzuha が1時間7分。男子は近江竜之介 Ohmi Ryunosuke が50分57秒で2位、小田切将真 Odagiri Shoma が52分20秒で3位に続きました。合わせて行われた中高生の部は登り一本のタイムだけであらそわれ、小林華蓮 Kobayashi Karen (32分55秒)、近江仁之助 Ohmi Jinnosuke (30分5秒)がそれぞれ男女のチャンピオンとなりました。

日曜日のスカイレースは往復コースを3往復する24km 1,860mD+のコースで行われ60人が参戦。こちらは高村貴子が後続を16分以上引き離す2時間44分で勝利。楠田涼葉が3時間0分で2位、若林綾 Wakabayashi Aya が3時間14分で3位。男子では上田瑠偉が2時間5分で圧勝、前日のバーティカルとあわせて二冠に。13分差の2時間18分で近江竜之介が続き、3位には上正原真人 Kamishohara Masato が2時間20分でした。高校生を対象とするミドル部門は2往復のコースで行われて近江仁之助(1時間39分)と小林華蓮(1時間51分)、中学生対象のショートは1往復で小幡莉子 Obata Riko (56分14秒)と滝澤漣 Takizawa Ren (51分22秒)がそれぞれ優勝しています。

日曜日には登りはロープウェーを使い、下りだけを6時間繰り返す「爆坂RUN」も開催されました。

大阪 夏の陣・くろんど輪舞曲(ロンド)180K(180k, 120k, 60k)

大阪府交野市。大阪府民の森・くろんど園地に設けられる8.6kmの周回コースで開催。18人がソロで参加した180kmは土井陵が31時間57分でトップでフィニッシュ。亀高育雄(36時間32分)、いいのわたる(37時間21分)に続いて女性でトップの丹羽薫が39時間14分で完走。120kmは54人がスタートして11人が完走。完走者は全員が男性で優勝は植田一太(23時間3分)、2位に伊藤直(23時間14分)、3位に安東毅(23時間18分)。82人がスタートした60kmは山田勝(9時間30分)、太田展弘(9時間44分)、織林翔(9時間55分)が男子トップ3。女性は三村希実(11時間39分)、宮崎真衣(12時間53分)、中尾嘉弥(13時間39分)がそれぞれ1位、2位、3位となりました。リザルトは大会ウェブサイトから。

8月8日土曜日

North Downs Way 100m

イギリス・ロンドン南郊のノースダウンズウェイ・トレイルで開催。この大会は感染対策を行った上で開催される予定です。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。

8月9日日曜日

Ubaye Trail Salomon (42k, 23k, 12k)

フランス南部のバルスロンネットを拠点に開催。大会開催の模様が既にYouTubeなどに公開されており、スタート前の選手やフィニッシュ地点の観客のみなさんがマスクをしている様子が分かりますが、そのほかはこれまでと特に変わらない様子で大会が行われた模様です。42km女子はケイティ・シード Katie Schide(アメリカ、スイス在住)が4時間14分45秒で優勝し、マチルダ・サーニュ Mathilde Sagnes(4時間15分22秒)、カミラ・ブリュイアス Camille Bruyas(4時間16分23秒)がトップ3に入りました。男子はティボー・バロニアン Thibaut Baronian(フランス)が3時間35分17秒で優勝し、2位にジュリアン・ミシェロン Julien Michelon(3時間35分45秒)、3位にテオ・デティエンヌ Théo Detienne(3時間41分29秒)。Golden Trail Franceシリーズの一戦となった今回の大会は、フランスで久々に有力選手が集まるハイレベルな大会となりました。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。

今週末開催のイベント

8月12日水曜日

(中止)Mongolia Sunrise to Sunset (100km、42km)

モンゴル・フブスゴル国立公園で開催される大会で100km 3,365mD+というコース。モンゴルにおいては厳しい検疫体制が継続されており、大会は「延期」で入国や移動に関する規制が緩和されれば9月または10月に大会を開催する可能性があるとしています。

8月13日木曜日 – 16日日曜日

(中止)Challenge du Montcalm (109k, 42k, 25k)

ピレネー山脈のフランス側、アリエージュでVKから109kmまでの5つのレースが開催される大会。今年は中止に。

8月14日金曜日 – 15日土曜日

(中止)Swiss Alps 100 (50k, 100k)

スイス・ヴァレー州の東端、ローヌ川の源流部で開催。スイスでは新型コロナウィルスによるイベント開催の制限は緩和されつつありますが、現状ではボランティア・スタッフの安全や医療スタッフの人数を十分確保できないとして中止を決めています。大会では5月16日から8月16日までバーチャル大会を開催中。これは期間中に合計800km、または400kmを走るというものとなっています。

8月15日土曜日

(中止)Iron Legs (60k, 80k, 100k)

カナダ・アルバータ州で開催。大会は中止となっていますが、8月15日から21日にバーチャルレースを開催。都合の良い時にそれぞれのレースに相当する距離を走ってログをアップデートするというものです。

8月16日日曜日

宮崎鏡洲の森トレイル(26k, 13k)

宮崎市鏡洲の宮崎自然休養林で開催。5月24日に予定されていた大会が8月16日に延期されていました。感染拡大の状況を見極めた結果、8月に入ってから宮崎県内在住者に参加を限定することを発表しています。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

コロナ禍の中で欧州で開催された3つのトレイルランニング大会・ITRAのニュースレターより

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当サイトのコラム・DC weeklyでも毎週お伝えしている通り、今年は国内外ともに多くのトレイルランニング大会は新型コロナウィルスのため中止です。しかし、一部の大会ではそれぞれの国や地域で示されているガイドラインに従い、感染拡大を防ぐために運営を工夫してレースを開催しています。

ここではITRA(国際トレイルランニング協会)が先週発信したニュースレターに紹介されていたヨーロッパで7月に開催された3つの大会についてご紹介します。ITRAでは大会主催者に向けて新型コロナウィルス感染症に関する大会運営のガイドラインを発表しています。

ちなみに日本のトレイルランニング大会では緊急事態宣言が全国で解除された5月末には大会を開催する大会が現れ、距離が短めの大会が参加者を少人数に絞って開催しています。しかし、7月から8月にかけて感染拡大の兆候が見られるとして警戒を強めている自治体が増えていると報道されています。トレイルランニング大会の開催も目下の状況を踏まえて随時見直していくことになるのかもしれません。

(写真・マデイラ島で開催されたTrail Porto Da Cruz Naturaのスタートライン。All photos courtesy of ITRA)

Trail Porto Da Cruz Natura

北大西洋のマデイラ島(ポルトガル)北東の港町、ボルト・ダ・クルスで開催される大会で、50km 3,600mD+の「Trail Ultra」、25km 1,400mD+の「Trail Longo」などのレースが設けられています。今年の大会は7月19日に開催され、ポルトガルでCOVID-19によるロックダウンが始まってから初めて開催されるトレイルランニング大会となりました。

今年の大会には3つのレースにあわせて約300人が参加。スタートは事前に指定された通りに走力のある選手から10人ずつがスタートエリアに入って前後に間隔を空けた各自の位置からスタート。これを1分毎に繰り返すウェーブ形式のスタートとなりました。また、スタートエリアに選手が入る際には一人ずつ検温、選手はスタートから200mを過ぎるまではマスクを着用するというルールも設けられました。レース後の表彰式は総合表彰の上位選手のみに限って開催し、完走メダルなどはマスクを着用して指定のエリアで受け取るという運営となりました。

Vodno Matka Trail

上記のマデイラ島での大会と同じ7月19にちには東ヨーロッパ・北マケドニアの首都・スコピエで「Vodno Matka Trail」が行われました。42km 3,100mD+と26km 1,650mD+の二つのレースから構成される大会です。

選手受付ではマスク着用と手指消毒が必須、スタート前には検温、スタート時は選手間に最低1mの間隔を置き、スタート直後まではマスクを着用する、というレギュレーションで開催されました。

間隔を空けてスタートを待つ選手の皆さん。

レースの前後にはマスクを着用していた。

Los 3 Días Trail Ibiza

スペインのバレアレス諸島・イビサ島は地中海に浮かぶリゾート地でクラブカルチャーの中心としても知られます。この島では例年85km、42km、21kmのレースを開催する「Los 3 Días Trail Ibiza」は7月12日に150人が参加するレースを開催。1m以上の間隔を空けて6人の選手が同時にスタートするのを10秒おきに繰り返すウェーブ形式を取りました。今年11月27日から29日の三日間の日程で例年の大会を開催予定で、7月はそれに向けたテスト大会という意味合いもあったようです。

(source: ITRA

DC Weekly 2020年8月18日 –宮崎鏡洲の森トレイル開催、木ぐるぐる、ネックゲイターは無益?、トレイル・ド・フランス、不死身のジェイがレース優勝、Nolan’s 14

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(写真・8月16日の宮崎鏡洲の森トレイル Photo by Sho Fujimaki)

動画でお送りするDC Weeklyはこちらから。

トレイルランニング関連ニュース

長田豪史プロデュース「木グルグル2時間耐久レースAdvanced」

8月1日に木の周りを2時間回り続けるイベントを開催したばかりの長田豪史さんが、8月15日に「木グルグル2時間耐久レースAdvanced」を開催しました。前回は4本の木を繋ぐ一周70m・累積獲得高度3mD+のコースでしたが、今回はコースが一周400mでガレ場や砂場を含むよりハードなコースに一新。午前の部は今年1月のUltra-Trail Tai Mo Shan 160kで優勝した野本浩礼が53周で優勝、2位は51周で山崎喜一郎、3位は同じ51周で細山雄一が続きました。午後の部は49周をトップでフィニッシュした小山孝明が優勝、200m差だった中山立が2位、さらに70m差で渡邊秀樹が3位に。イベントの様子は長田豪史さんのFacebookページから。

「木ぐるぐる2時間耐久レースAdvanced」で優勝した野本浩礼。Photo by Goshi Osada

「木ぐるぐる2時間耐久レースAdvanced」で優勝した野本浩礼。Photo by Goshi Osada

丹羽薫さんの「Shiga1 FKTへの挑戦」4回シリーズ、完結

丹羽薫さんのShiga1 FKTへの挑戦を追うドキュメンタリーについては当サイトもご紹介しましたが、先週、4つ目のエピソードが公開され全4話のシリーズが完結しました。視聴はこちらから

ネックゲイターはマスクの代わりにならない?

新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、ランニング中にマスクの代わりにネックゲイターを使うことが増えています。これについて、ネックゲイターに使われている繊維は吐き出される呼気に含まれる水滴を小さく分割してしまい、より長く空気中を漂うことを可能にしてしまう、という研究結果をアメリカの大学の研究者が発表したという記事が先週注目を集めました。しかし、これは元々医療用マスクが不足した状況下で、身近なファブリックを使った布マスクの効果を確かめるために大学の研究者が簡易に評価する仕組みを試しているというニュースが元になっている、としてネックゲイターが無用あるいは有害ということはできないという意見も紹介されています

「トレイル・ド・フランス」が2021年夏開催へ

ツール・ド・フランスは7月に約3週間にわたってフランス各地をコースとして行われる自転車のロードレースですが、まるでそのトレイルランニング版ともいえる大会が計画されています。Trails Endurance誌によれば来年2021年7月に開催予定の「トレイル・ド・フランス Trail de France」は7日間6ステージのトレイルランニングのステージレースで、コースの合計は380km、累積獲得高度が14,000mD+。ソロまたは3-4人のリレーチームで参加可能。コースやエントリーの詳細は今後大会ウェブサイトで明らかにされる見込みです。

ジェイ、倒木の下敷きで一時意識を失うも2週間後に100kmのトレイルランニングレースで優勝

タイの「ジェイ」ことジャンタラブーン・キアンチャイパイファナ Jantaraboon Kiangchaipaiphanaは2018年のUTMFで5位となっている屈強なトレイルランナーですが、8月8-9日にタイのチェンマイで新型コロナ対策を講じて開催された100kmのトレイルランニングレース、CM6で優勝しました。実はその2週間前、ジェイは友人と一緒のところに突然大きな木が倒れてきて、その木がジェイの頭を直撃。その衝撃で意識を失い、意識が戻ってからも右半身に違和感が残る状態だったといいます。(South China Morning Postより)

アメリカのNolan’s 14でFKTの更新ラッシュ

7月の初めにアメリカ・コロラド州のNolan’s 14(サワッチ山脈の14,000フィート以上の14峰を60時間以内でつなぐというチャレンジ)でユタ州在住のジョーイ・カンパネリ Joey Campanelliがサポートなしで41時間0分33秒で完走し、サポートありも含めた全体のFKTを大幅に更新したことをお伝えしました。このNolan’s 14では女性によるFKTも盛んで7月8日にはサラ・ハンセル Sarah HanselがサポートなしのFKTとなる57時間43分を記録。8月5日にはアンドリュー・ハミルトン Andrew Hamiltonアンドレア・サンソン Andrea Sansoneが男女ペアでのセルフ・サポートあり(コース上での事前のデポや買い物などを可とする)のFKTとなる53時間14分を記録。そして8月10日にはサブリナ・スタンレー Sabrina Stanleyがサポートありで51時間15分を記録してFKTを更新。今年はNolan’s 14以外にも各地でFKTへの挑戦に取り組んでいるアスリートが例年以上に多く、まだまだFKT更新のニュースは続きそうです。

先週末開催のイベント

8月16日日曜日

宮崎鏡洲の森トレイル(26k, 13k)

宮崎市鏡洲の宮崎自然休養林で開催。5月24日に開催予定の大会はコロナ禍により延期となりましたが、参加者を宮崎県在住者に限って先週末に開催されました。リザルトはこちらに掲載される見込みです。(Photo by Sho Fujimaki)




今週末開催のイベント

8月20日木曜日 – 23日日曜日

(中止)Grand Raid des Pyrenees (160k, 120k, 80k, 40k)

フランスのピレネー山脈で開催、ヴィエル=オール Vielle-Aureの町を拠点に開催される大会。今年は大会は中止となりましたが、オンラインのバーチャルイベントやコースとなるトレイルへのハイキングの呼びかけがウェブサイトには掲載されています。

8月21日金曜日 – 23日日曜日

L’Echappee Belle (149k, 87k, 62k)

フランス南東部のベルドンヌ山脈を、ヴィジーユ Vizilleからエーグベル Aiguebelleへと縦走するコースで開催。8月初めに当局の許可が出たことから大会は開催されます。新型コロナ対策としてソーシャルディスタンシングやマスク着用についてのルールが設けられるほか、エイドも一部削減される模様。しかし私的サポートは認められます。149kmにはジュリエット・ブランシェ Juliette Blanchet(フランス)、セバスチャン・シェニョー Sebastien Chaigneau(フランス)、サンゲ・シェルパ Sange Sherpa(ネパール)、87kmにはミンミ・コトカ Mimmi Kotka(スウェーデン)、ヒラリー・アレン Hillary Allen(アメリカ)、57kmにジョルディ・ガミト Jordi Gamito(スペイン)がエントリーしています。

8月21日金曜日 – 22日土曜日

Matterhorn Ultraks (2.3k Vertical, 19.5k, 25k, 49k, 32k)

スイス・ツェルマットを拠点にする大会。マスク着用などのプロトコルに従って開催されます。スカイランナー・ワールドシリーズの一戦となっていましたが、今年のワールドシリーズはキャンセルされています。

世界文化遺産“富士山”山麓一周フットレース(101km)

山中湖をスタートし、時計回りで富士山山麓を一周する101.1km 2,150mD+のロードのウルトラマラソン。新型コロナ対策をとった上で開催されます。

8月22日土曜日 – 23日日曜日

Pikes Peak Ascent & Marathon

アメリカ・コロラド州で開催される伝統ある山岳マラソン。マニトウスプリングスからパイクス・ピーク山頂への約21kmのコースをベースに開催されてきました。今年は土曜日に開催予定だった登りのみの”Ascent”はキャンセルされましたが、日曜日の山頂往復コースの”Marathon”は開催されます。マスク着用などのプロトコルを設けるほか、会場のエキスポや飲食ブースは開催されませんが、Facebookなどでライブ配信が行われます。Golden Trail Seriesのレースとなっていましたが、今年はシリーズ戦が中止となっています。

(中止)Leadville Trail 100

アメリカ・コロラド州レッドビル。1983年に始まった歴史ある100マイルのトレイルレースはコース全体が標高3000mから4000mという高所にあります。今年の大会は中止で、今年夏のMTBなどLeadville Race Seriesのイベントも多くが中止されています。

8月22日土曜日

(中止)Telluride Mountain Run (38m, 22m, 14m)

アメリカ・コロラド州のサンフアン山脈で開催の山岳レース。今年の大会は中止に。

(中止)Ultravasan (90k, 45k)

スウェーデンで開催。クロスカントリースキーの長距離レースとして有名なVasaloppetの夏のトレイルランニング版ともいえる大会です。今年の大会は開催されませんでしたが、オンラインのバーチャルイベントが開催中です。

(中止)Waldo 100k

アメリカ・オレゴン州のウィラメット・スキーエリアで開催される100kmのトレイルランニングイベント。今年はキャンセルされました。

8月23日日曜日 – 29日土曜日

(中止)白山ジオトレイル(6ステージ、250km)

石川県・白山で開催のステージレース。テント泊、行動中の食料はスタート時に背負ったものだけで途中の補給不可、という本格的なスタイルの山岳レースです。今年の大会は中止となっています。

8月23日日曜日

赤城の森トレイルラン(30k, 15k)

群馬県赤城高原の横浜市少年自然の家「赤城林間学園」を拠点に開催。今週末に5回目の大会が開催予定です。

(中止)十勝岳トレイル in かみふらの(55k, 15k)

北海道・上富良野町で開催。今年は中止に。

(中止)OSJ MAHIRUSANCHI TRAIL 50K

秋田県大仙市。昨年、秋田県と岩手県にまたがる真昼山地で初めて開催されましたが、今年は中止になりました。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

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